しかし,どうしても
「ほんまかいな」
と思ってしまう。
例えば,
本文中に スギは下枝が自然と落ちるので,日光が林床に差し込み易く下草が生えやすいといった記述があるが,
スギ林の林床は昼でも真っ暗やで。
という訳で,筆者の問題意識にも非常に共感する部分もあるが,その記述全般を鵜呑みにするのは危険だと思う。
考える契機にするには良い本です。
著者は、国内に焦点をあて、歴史的背景を説いた上で、日本の森育成は世界で最も成功した例であるとし、現在の危機は木材を売って製品を作るノウハウ不足、間伐・下刈りなど手間暇のかかる農業発想の育林による高コスト等、「林業」の衰退が大きな要因であると論じている。
又、近年盛んに行われる森林ボランティアは、役立つどころか、林業従事者にとってははた迷惑なものになっているという。実は、殆んど役立っていないらしいのだ。都市生活者は伐採や下刈りなどではなく、森林保護に貢献できることは他にあるはずだ、と著者は考えている。
後半では、著者の様々な森林経営の為のアイデアが列挙され、非常に参考になる。
「森林」の危機を闇雲に訴えるものではなく、森林と人とのかかわりをトータルに捉えている視点が非常に良いと思う。
森林危機に心を痛めている方や森林ボランティア等に参加している方にはとても参考になると思います。
林業の問題は環境問題でもあるし、経済問題でもある。経済性の観点から(とはいえむき出しの市場原理主義というわけではない)林業の問題を余すところなく語った、文字通り目から鱗の好著といえる。
日本の林業は「環境保護」や「国策」などの文脈で語られることが多いが、著者はそのような態度こそが日本の林業の衰退の原因なのであり、これを復活させるためには経済原理を導入する必要があると主張する。「持続的開発」といった言葉を使用する、市場原理重視論者の1人として位置付けることができる。フットワークが軽く、広範囲の取材を行っているので、林業にあまり関心がないが環境保護には関心があるという一般読者にとっては新しい発見が多いだろう。地方の「村おこし」などの活動に関わっている人も、著者の議論からいろいろな刺激を受けることができると思う。