「家族愛」、「勇気」…どんな言葉でも足りない、壮絶な実話。
驚いたのは事故後サーキットでマイナーレースを走る太田氏の姿。あの大事故の後にもかかわらず、身のこなし、表情全てがすっかりレーサーのそれに変わり、水を得た魚のようになっています。
そして「タケヤリ山路」こと、レーサー山路慎一氏の事故当時の行動。無能なオフィシャルに先んじて炎上したフェラーリを消火、しばらく経ってようやく駆けつけ尚もたつくオフィシャル・カーに怒りの蹴りを食らわし、その後自分の仕事を完遂すべく恐怖と戦いながらスターティンググリッドに戻る…。言葉は無くとも行動で全てを語る。彼も「漢」、この映画の名脇役です。
人間は弱く脆く、時に強くなれる。太田さんの手記と合わせて鑑賞することをお勧めします。