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地に呪われたる者 (みすずライブラリー)

価格: ¥3,465
カテゴリ: 単行本
ブランド: みすず書房
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地に呪われてしまった者たちの苦難 ★★★★☆
植民地秩序とはいかなるものか。植民地秩序の下で生活するとはどのようなことか。我々はそれをなかなか想像できない。その悲惨な状況がファノンの熱情的な筆致によって目の前に描き出されたとき、読者は心を激しく揺さぶられる。

自らのアイデンティティまでもが植民地秩序の影響にさらされ歪んでしまうこと。地に「呪われたる」とファノンが言うのはこのことである。植民地に生まれたものは、自らを劣ったものとして表象してしまうのだ。

その劣った者としての表象を背負った「現地人」は独立の過程で植民者になりかわろうとする(植民者の占めていた地位に自分が立とうとする)が、他の「現地人」とすぐに利害が対立し相容れなくなり、それが植民地の自立をさらに難しくする。独立のし難さだけでなく、独立を果たした後にまで付きまとうこの「地」の「呪い」は、植民地秩序の恐ろしさを我々に物語っている。

本書は、序文を書いたサルトルの言うように、先進国の者に向けたものではない。本書は「呪われたる者」に向けて書かれたものである。しかし、旧植民地下にあった国々の民族や文化を理解する上で、本書は極めて示唆的な視点を我々に与えてくれる。先進国にいる我々は、彼らのこの叫びを真摯に受け止めねばならないだろう。「呪い」は容易には消え去らないのである。