胸を打つ著者の溢れる思い
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著者は、悩みの真っ只中にある読者(高校生)を念頭に、抱きかかえるように励まし語りかけている。
創価学会の子弟に向けて発表されたようだが、一般に読まれないのは余りに惜しい。
教える側としてはいささか耳にこたえる次の一節 ――
「わからない」ことは悲しい。「わからない」まま毎日、六時間も座っている生徒の気持ちを、私は教師の方々に、わかってほしいのです。簡単に切り捨てないでほしいのです。教師にとって、生徒を否定することは、自分を否定することのはずです。どんな生徒でも、生徒は生徒です。 学ぶ権利がある。 伸びる権利がある。 だれだって勉強が 「わかりたい」のです。自分を、あきらめてなんかいないんです。「あきらめさせられた」のです。その絶望感をわかってあげるところからしか、教育は始まらないのではないでしょうか。 (430頁)
自分がどうやったら伸びていけるのか ―― 出口を求めて必死にもがく子供たちへの著者の溢れる思いが胸を打つ。