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在日一世の記憶 (集英社新書)

価格: ¥1,680
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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貴重な日本の近・現代史 ★★★★★
 日本統治時代の韓国と、戦中・戦後の日本を生きた普通の人々の声で、それぞれの体験や生活していた地域の様子が語られている点で貴重な一冊だと思う。一人ひとりの人生が、一つの物語であり、まるで自分のおじいさんやおばあさんの話を聞くようで面白い。
 興味深かったのは、多くの日本人が朝鮮人を著しく、不当に、理不尽に、平然と差別していた事実。人間が同じ人間を、どうしてここまで差別できたのか、とショックを受けた。ほとんどの在日一世の人たちは、朝鮮半島の農村で子沢山の中でひどく貧しい生活をしていた。たぶん、そのころの日本人も同様に、子沢山でひどく貧しい生活をしていたのではないだろうか。そして、熾烈な生存競争の中で、自分たちが生き残るために、他人のことを思いやれずに差別・搾取していったのではないかと考えた。
 戦後、日本に残った在日の人たちが、自分たちの子どもに母国語の教育を受けさせようと、貧しい中からお金を出し合って民族学校を作ったこと、朝鮮民主主義共和国が民族教育をかなり援助したこと、アメリカの政策により民族教育が禁止されたことなど、今まで知らなかったことを知ることができた。これはすべて日本で起きたことであり、日本の歴史である。
 思うに、在日の人たちが強制連行で日本にやってきたのか、経済的理由でやってきたかはあまり問題ではなく、彼らがすでに日本の市民であることに間違いはない。近隣国の人たち同士の出入りや交流があることは国として普通の姿だし、近隣国に移り住む人たちがいるのもまた当たり前のことだ。在日を在日と認知し、日本市民として互いにその存在を認め合い、協力関係を築いていきたいものである。
それぞれの「日本へ来たきっかけ」生の声を、未来へ活かす ★★★★★
100年後にも通用する貴重な史料。各図書館で保存すべき本。直接見聞に非常に近い形で在日1世の人生回顧の声が聴ける秀作。52人分あって分厚いけど、話し言葉だから読みやすい。もし全部読む気力がなくても2〜3人分だけでもいいから読むべき。昔の時代、ヨン様やチェ・ジウやイ・ビョンホンもいなくて、ヒュンダイの新車やサムスンのコンピュータ機器やLGの高速エレベーターも身近にない、そんな時代の話。彼らの人生回顧話から学ぶことは多い。日本に来るうえでどういうきっかけや展開だったらもっとハッピーだったのか?この経験を将来外国人を受け入れる場合にどう生かしどう工夫していったらいいのか?など、これを機にいろいろな課題が思い浮かぶだろう。また、自動車づくりでは日本が一歩リードしているが、厳しい国際情勢の修羅場を乗り切る技においては見習うべき点も多い。読者たちが各人各様の意見を出していけば今後大きく花開くだろう。さらに考察を深めるにあたり、在日2世の内在的論理に迫ってみたい人には姜尚中著「在日」を、同じ激動の時代を分断政策の対岸アメリカから見てどうか知りたい人には「ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争」を、それぞれ一読することを勧める。
*2010年5月28日追記*
本書のなかで特に強く印象に残った部分がある(p.626 「四・二四阪神教育闘争」の項)。昭和48年1月GHQが日本当局に朝鮮学校を閉鎖させるように指示し、そして、小学校にGHQのジープが来たとき、オモニ達が校門のところにダーッと並んで寝て、「(小学校に)入るんなら殺して入れ」と怒鳴ったらGHQのジープは入らずに帰って行ったとのエピソードが載っている。当時の歴史を振り返って思うことは、GHQの「日本の墨塗り教科書」(=日本の民族的教育の破壊もしくは解体)のような政策の延長上としてこうした朝鮮学校(さらに中華学校)の閉鎖をめざすという施策があり、そうした「民族教育を排する」(=アメリカ型システムを植え付けて管理しやすくする)ことへの強い反対から闘争事件がおこったのではないか。その点からいえば、民族教育を尊重することは、同時に、日本の敗戦で破壊される前の日本的民族教育を尊重することでもある。
願わくば続編を期待したい、貴重な証言集。 ★★★★★
労作である。編者と出版社の心意気が伝わってくるような厚みに敬意を表する。よくぞ出版を実現しました。
 強制連行から今日まで至る苦難の歴史を、個人の立場から語った証言集。
52人の語り部は各々立場は異なるが、苦難の歴史を経て現在に至る過程には頭が下がる思いです。
語る言葉は重く、一字もゆるがせに出来ない。
速読厳禁な内容にしばらく本書に没頭する時間が必要にある。
70歳を経た一世たちの努力が今日の日本を形作ったことに畏敬の念を持つ。
批判を越えて感謝の言葉すら出てくる彼等を尊敬する。
 各人のインタビューが短すぎると思う。2倍以上を紙面に費やす価値がある。取材者が若い人なんだろうか、一世との距離が離れているような雰囲気がある。それが十分に話題を引き出せてない傾向がある。残念。
願わくば続編を期待したい、貴重な証言集。
タイトル通りの好著 ★★★★★
一世のオジィオバァはそろそろ80をこえて、よい意味で肩の力が抜けてきてますし、そろそろ、きちんと証言をとっておかないとお迎えがきます。

知らなかったのですが、総連と民団の対立を語るのは、タブーだったんですね。
こんな当たり前の事実でさえタブーを破るという恐怖から、人は抜け出せないモノ。
ある意味無敵になった、オジイオバアでなければ文章として残すことは、できなかったのかもね。

千円ちょいでよい本が読めました。
貴重な史料となる一冊 ★★★★★
まだざっと読んだだけですが、強制連行などではなく、貧しさで渡日した人がほとんどという事実は重大です。変なイデオロギーのない、むしろ親在日の調査者によるというのも、史料の信憑性を高めます。
植民地政策で「朝鮮統治では、なかには良いこともした」はずが、貧しさから逃れようと庶民階級は密航してきたことや、花岡事件のような言い訳できない強制連行(正確には、言葉巧みに雇ってきた朝鮮系日本人を、差別的に扱ったもので、狭義の強制連行とは違うかも)もあり、それについては検証と、必要なら民間レベルでの補償も要しますけど、ご先祖は強制連行されたのだから侘びとして特権的扱いしろという、在日1.5世の論拠を崩しかねない一冊です。
こういう史料を集め、謝るべきことは謝って賠償的特権付与もやむをえない、でも、論拠のない言いがかりなら断固突っぱねる、そういう流れに良い意味で一石を投じる一冊です。
ぱっとしない集英社新書の、今のところ最高の成果。この調子で良書をどんどん発刊キボン>集英社さん