結論の内容は特に目新しくない。みんな「同じ」という発想が制度的差別を隠蔽する、マジョリティは「在日」としての「ちがい」を認識せよ、というものだ。ただ、それが、個々の現在を見つめた上での結論だというところに意味がある。個人としての違いを論じた上でなお、筆者は、「在日」が集団として背負わされている問題への注視を促さねばならない。それほどに、いまだに「在日」ゆえの差別は続いているということだろう。
冒頭に、在日コリアンの歴史的経緯や、彼らを取り巻く問題の概要が記されており、入門書としても適している。