いよいよ新たな旅へ、そして新たな出会い
★★★★★
誘拐された自分たちの息子を追って新たな旅に出たガリオンとセ・ネドラ達。トルネドラ、ニーサを経ていよいよクトル・マーゴスに足を踏み入れる。
ドラゴンとの対決、身分を隠してのダガシの本拠地やグロリムの神殿、そしてマーゴの王の宮殿への潜入と息もつかせぬ展開は一級品のエンターテイメントに相応しい。そして、その中身もよく練り上げられた長編ならでは、そしてエディングスならではの”味"がある。
ベルガラスが新たな旅の道連れや予言に対して悪態を付き、予言はそんなベルガラスが苛立つ様子を楽しむ古なじみ同士の不思議な関係、悪魔との対決や隠者との対決でそれぞれ違った貌を見せるポルガラと、彼女を支え、支えられるダーニクのカップル。ベルガリアード物語からの時間を感じさせる人々との再会や、シルクをやりこめるヴェルベットことリセルや、新たな旅の道連れに加わったサディなど、新たな出会いもそれぞれ見せ場があって面白い。特に、ベルガラスをすら手こずらせるシルクの天敵、リセルの加入でこれまでとは一味違った旅を予感させる。
さらに、ベルガリアード物語では敵役だったサディやマーゴ人もこれまでとは違った顔を見せて、勧善懲悪という基本路線を押さえながらも、それに留まらない偏見や恩讐を越えた可能性を感じさせてくれる。
マーゴの王の宮殿での群像劇や、それに続く船の上の一幕、さらに思いもよらない人物との旅は、ガリオンのみならず、読者へも新たな認識をもたらしてくれる。ますます盛り上がるシリーズ第二巻はその厚さにもかかわらず、途中で本を置けない魅力に満ちている。