「天皇の逝く国で」の著者が、今度はエッセイ風に彼女の祖母の話、勤務先でシカゴ大での話、そして著者の出自、アイデンティティの問題として避けて通れない、日本と戦争と、そして謝罪について、などさまざまな話題が盛り込まれていた。前書はひとつの小説を読むようだったけれど、本書はひとつのお話が短いので、気軽に読めた。
特に著者のおばあさんのお話が面白かった。「くに」を漢字で書かず、あえてひらがなの「くに」(本文中も一貫して「くに」)となっているところが、いろいろな意味を内包していて興味深い。英語のcountry, nationではでない味が、日本語でうまくでているなーという本。