直近の４年間の記憶を忘れてしまったナオミが主人公です。

彼女は階段から落下し、記憶を失ってしまいます。
学校へ出てゆくと、そこには見覚えのない恋人（エース）があり、クラスメートたちがいます。

彼女は、事故の時に病院に運んでくれた陰のあるジェームズに惹かれてゆきます。
更には、イヤーブックの共同編集者で、彼女をよく知り優しく対応してくれるウィルがいます。
四年間という空白の期間がその繋がりを不連続にしており、それ故にこの三人の男性の間で、彼女の心は揺れ動きます。

人間は記憶を失ってゆくものです。しかし、彼女のように急激にそれが訪れた時、人はどうするのでしょうか？
ナオミのように、過去を捨て現在と未来だけに生きるのでしょうか？
物語ではナオミの記憶が戻ります。
従って、収まるべきところに収まりますが、戻らなければどうなっていたでしょうか？
現在の激情に任せて別の道を歩いていたのでしょう。その時には、母親との和解もなかったでしょうし、父親の後妻ともうまくいかなかったのではないでしょうか。

人間の記憶の持つ意味の大きさを感じさせてくれる物語でした。