体当たりで「差別」に向かう心意気
★★★★☆
作者が従来取り上げてきた「部落問題」、「自主規制」などの「差別問題」に関して纏めた集大成とも言える本。
まずは自身の子供の頃を振り返り、自身にも差別の心があった事を告白する出発点が好ましい。特に「Sくん」のエピソードは胸に迫るものがある。その体験の中で「差別意識=自身の優越感を得る手段」と喝破する展開は見事。それにしても、解放同盟の代表と直接会談するなどの勇気ある言論人がいるだろうか。それだけでも小林氏の言動は価値がある。「自主規制」別名「言葉狩り」の問題は、小林氏の職業に直接係るだけに熱が入る。「自主規制」という行為をする事自体が、「差別」の存在を明示しているという矛盾を突いて鋭い。
漫画家としての地位を危うくするリスクを冒してまでも、「差別問題」に体当たりで取り組んだ情熱の書。
シンパ/アンチの問題ではなく
★★★★★
今年2006年は、例年に無く差別問題を考えさせられることの多い年だったと思う。女系天皇問題では、天皇制だけでなく、性別による差別のことを考える機会にもなった。また、同和問題がいまだに解決されていない問題の一つであるということが、奈良県などで発覚した不労公務員の存在が、一般的な社会問題として扱われることにより明らかになった。そういう状況にあり、本書は小林よしのり氏という、どちらかというと好き嫌いの分かれる人物により差別論が展開されており、読む人に更に多くを考える機会を与えてくれると思う。初めて差別問題の意識に目覚めた方にお勧めです。読んだ結果が「同感」「反感」のどちらにせよ、問題意識を高めるのが、本書の存在意義ではないかと思います。
差別がなぜ存在するかの根源に迫る。
★★★★★
自己の内面を探求する事をしないとココまで書けない。開放同盟のこれまでの運動は新たに【面倒だ】【厄介だ】【怖い】と言った偏見を生んだ、しかしその当時はそうしなければ潰されると言う思いがあり強行におよぶしか手が無かったのだろう。その辺も理解しなくては成らない。今も田舎では古い運動方法をとっている所もあると思うが、もうその段階では無い、何も人間に違いが有ると思っている人はいない、だだ係わり合いになりたくと思う心がある事が、差別なんだ。実際に自分が思っている偏見、情報が本当に正しいか自分で確かめればよい。「トラブルがあったって大丈夫だ、相手も人間だ真剣に話し会えば解る。勇気を持って自分の気持ちに正直に、事実を確かめよう。」と思わせてくれる。作品でした。お勧めです。
>運動家の皆様へ
言葉尻、をとらえ悲しむ人がいるから使わないでと説いて回る運動は止めよう。
そうい言った人がいるのを知るのは大事だ否定はしない。
しかし気を使いながら喋るのは大変だ、それに私は気を使う事が偏見であり、そのまま差別であると思う。自分と違う人と認識させているのと同じだ。もっと本質のところを考えて欲しい。
部落(同和)問題を提起しとことは認めるが・・・
★★☆☆☆
私はこの作者のことをほとんど評価しない。彼の言い分は自分を美化、正当化しようとするものであり、低俗であり、公平に物事を見ようとしないからだ。この本はたまたま近くの図書館にあって読んでみたが、失笑しかなかった。あまりに自分を美化しようとしすぎている。内容も統一感がない。彼はいったい何を言いたいのか・・・同和問題か、表現の自由か、自分の書くものの正統性か・・・それとも自己満足を得るためだけのものか。第一、この本に出ている部落開放の団体が、いかに日本の民主主義、そして教育を捻じ曲げてきたか、著者は知っているのか?そして、今言われている自虐史観にいかに深く関わっているのか、そしてそれは一連の著者の著作と矛盾するのではないか?
ただ、日本が解決しなければならない、そして誰もが避けて通ろうとする、同和問題に一石を投じた意味は認める。
今とは論理が大分違う
★★★★☆
戦争論以降とは論理が大分違うように思うのだが、どうか。家系を鼻にかけて、親戚を自慢する人間を非難する場面がある本書の考え方でいけば(「自分はどうなんだ?」とつっこんでいる)、親・祖父母の世代の戦争美談を持ち出して情緒に訴える技は使えないと思うのだが…。考えが変わったのだろうか。漫画とは別に、Q&Aの部分も大変参考になる。「差別」を考える視点としては斬新で読む価値はある。