Roy Eberhardt は転校生──そう、まただ。今回の舞台は湿気の多いフロリダ州ココナツ・グローブにある Trace Middle School。だが、いつもどおり、昼食のときはひとりぼっち、本当の友だちはいないし、Dana Matherson のようなバカないじめっ子に、あごで使われている。でも、あの日Dana Matherson に顔をスクールバスの窓に押しつけられていなかったら、Roy は亜麻色の髪をした少年が走っているのを目にすることはなかったかもしれない。走る少年を見ていなかったら、背が高くて強くて、いじめっ子をやっつける Beatrice に出会うことはなかったかもしれない。Beatrice に出会っていなかったら、East Oriole Avenue の角の敷地に住んでいるアナホリフクロウを見つけていなかったかもしれない。アナホリフクロウを見つけていなかったら、おそらく、一生に一度の大冒険を経験しそびれていただろう。どうやら、いじめは万物の大きな目的に適うらしい。なぜなら、Dana Matherson がいなかったら…。
初めてのヤングアダルト小説で、Carl Hiaasen(著書にBasket Case など)は、読者を環境問題がらみのミステリーに引き込む。絶滅の危機に瀕した小型のフクロウや、フクロウたちの巣穴の上に建設予定の Mother Paula の All-American Pancake House、それにフクロウたちの思いがけない味方──いかれたおとな社会をやっつけようと決意するミドルスクールの生徒3人で構成される世界だ。ドタバタ喜劇ふうのユーモアのセンスをうまく子ども向けにアレンジしても、Hiassen の語り口は皮肉さを失わない。ミドルスクールのミステリファンの間でヒットまちがいなしだ(対象年齢:10~15歳)(Jennifer Hubert, Amazon.com)