最高のバカ小説
★★★★★
ある黒人女性が2800万ドルの宝くじに当選したが、実は当たりくじは2つあり、もう片方を所持した白人至上主義者のコンビが彼女からの強奪をたくらんだため、大争奪戦に。映画「ウェイクアップ!ネッド」でもあったように、宝くじをめぐる騒動という設定自体は至ってありがちだ。
ただ、そこは剛腕作家のハイアセンだけに、異様な登場人物たちが話を大脱線させていく。
金よりも亀を愛する黒人女性、彼女の取材に来た新聞記者、新聞記者の不倫相手、不倫相手の夫の裁判官、新聞記者との離婚を拒否し続ける舞台女優、すべてをNATOの陰謀と思い込む悪漢、悪漢を手玉にとる巨乳ウェイトレス、カメに取りつかれた新聞社のデスク、そしてカニ・・・。
コメディであり、ラブロマンスであり、ピカレスク小説であり、環境問題小説であり、社会批判であり、ジャーナリズム批判でもある。
要するに今回もまた、最高の馬鹿小説ということです。