ずいぶん前に、畑正憲さん翻訳のもの(愛犬物語)を読んだのだが、訳者が違っても物語の雰囲気がほとんど変わっていなくてよかった。
ただの動物好き物語でも、ただの獣医体験記でもなく、そこに居合わせる人間たちもまた個性的。

シリーズで続けて読むと同じような話が出ても来るのだけれど、不思議とうんざりさせられないのが好きなところ。

そうでない人も、それぞれの猫の個性の面白さが、ドクターヘリオットや猫を取り巻く人々の人となりと相まって、とても楽しんで読める事請け合い。
しみじみと暖かく、嬉しくなって包み込まれるような読後感。
今よりは少し昔の話だが、こんな暖かい人たちが大勢いた時代がうらやましい。

ﾄﾞｸﾀｰ･ﾍﾘｵｯﾄが出会ったたくさんの猫達。世の中 こんな獣医さんばかりだったら、幸せに暮らせる動物がもっと増えるのではないでしょうか。小さな猫の小さな命を助けようとする一生懸命な姿が印象的です。笑いあり、涙ありで、とてもおもしろい作品です。

心ある人なら絶対泣く、泣かないまでもぐっとくるものが必ずあります。 世界の獣医さん必読の書というのも頷けます。

一編一編がとても優しく、切なく、懐かしいです。 ハンカチ片手にどうぞ。

ほのぼのと、心暖まる文章で綴られる物語です。原書で読んでも同じ様に心暖まります。猫好きでなくとも楽しめる本です。読んだ後に、心が洗われた感じがします。