湘南ダディは読みました。
★★★★☆
ヘリオット先生(筆名)はヨークシャーに実在した獣医さんで、70年代に発表された
All Creatures Great and Small,
All Things Bright and Beautiful,
All Things Wise and Wonderful,
The Lord God made them allのAll4部作は米英で大変に人気があった著作ですが、もう3、40年前の作品ですし、作者も大分前になくなったと聞いていましたので書店でこの本を見つけたときは、大変嬉しく懐かしくもありました。
この4部作は、 獣医として見聞した人と動物との交情と一見頑固で不愛想なのですが素朴で堅実なヨークシャーの農民の生活を、ユーモアと愛情に満ちた観察眼で淡々と綴ったもので、穏やかで平和な田園の雰囲気に満ち満ちた作品集でした。本作はその中からヘリオット先生お気に入りの犬にまつわるエピソードを10篇あつめたアンソロジーです。
寝たきりの老婦人スタッブスさんと3匹の犬と2匹の猫の話や、一切の財産といえば乳母車につめる程度の着替えや犬のジェイクだけという謎の放浪者ロディの話、炭鉱の落盤事故で下半身不随となってしまったロンとカンダル夫妻に飼われていたダックスフント、ハーマンが歩行不能になってしまうのですが偽薬で奇跡的に回復する話などどれも作者の暖かい人柄がしのばれるお話です。またこの訳書には表情に富んだ素晴らしいワン君たちのイラストが沢山掲載されていてこれを眺めているだけでも犬好きにはこの上ない楽しさがあります。チャンスがある方にはAll4部作の原作を是非とも読まれることをお薦めします。