あえて今この事件を見つめ直すということはこういった誤情報や当時の感情的世論に惑わされることなく、
ありのままの酒鬼薔薇聖斗を発見することができるということだ。
またそういった人にとって、この本は必携と言って良いだろう。
著者は独自の見地に立ちながらも大枠は第三者的視点に立っており、なにより
事件の事実関係に添って執筆されているために誤った情堡?や妙な先入観を持つ恐れが少ない。
酒鬼薔薇聖斗の両親、また不運にも被害に遭った少年の父親が執筆した本もある。
しかし事件に直接関わっていない者が執筆したという一点に置いて、この本は
「酒鬼薔薇聖斗」というムーブメントを理解する最初の一歩として絶好なのである。
酒鬼薔薇聖斗と同年齢の若者が17歳になって立て続けに起こした一連の17歳事件。
あれらの事件の犯人達はみな酒鬼薔薇を神と崇める傾向があるという。
酒鬼薔薇聖斗という歪な闇が支配する世界に入ったとき、あなたの脳内宇宙にも
この14歳の少年を崇める意識が生まれるかもしれない。
そんなときひょいと気を抜くと、あなたは「あちら側」の人間になってしまうかもしれないのである。
あなた自身の心の闇を見つめるためにも、この本は役に立つだろう。