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連合赤軍 少年A

価格: ¥399
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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現代にも通じる事件 ★★★★★
 本書は、有名な山岳ベース事件、あさま山荘立てこもり事件に関わった著者の目から、事件を冷静で分析的な文章でつづったものである。
 当時の時代状況のほかに、著者個人の、極端に権威的な父親に対する反発や、その父が軽視していた弱者への共感といった、内面的な動機が語られている。
  
 本書のクライマックスはやはり山岳ベースにおける連続リンチ殺人である。
 被指導者クラスであり、発言権がほとんどなかった著者にとって、連合赤軍の幹部たちの「総括要求」は「ほとんど言いがかりに近い」ものと映り、いつ自分が対象になるかわからない危機感が強くあった。「ものを言えば殺される」という状況において、著者の心が恐怖に閉じていく様子がなまなましく伝わってくる。

 著者の語る通り、幹部である永田洋子や森のメンバーに対する総括要求の基準は、相手が自分に賛同的かどうかという強い偏りがあった印象を受ける。読者の目にも、私情を思想に転化して攻撃性を発揮したとしか思えない言動がある。しかし、山岳ベースにおいては、本人も周囲もそれを意識することができない閉鎖的状況が作られていたのだろうと推察される。
 著者は「あのとき単純に“おれの友達に何をするんだ!”とぶつかっていけば、惨劇は避けられたはずだった」と悔やむが、大義の呪縛はその単純で自然な感情を許さないものだったのかもしれない。

 現代の視点からみれば、なぜ彼らが、こうも激しくイデオロギー的熱狂に駆り立てられ、たやすく高揚感に身を任せてしまうのかと、危うさを感じてしまうが、それにはさまざまな要因があったことがわかる。
 著者は、多くの若者たちにとって政治活動は「卒業していくファッション」だったが、連合赤軍は違ったと語る。
 
「イデオロギー」そのものは一概に悪いとも良いともいえないかもしれない。
 だが、それが個人よりも上位に置かれ、個人の感情から目をそらすものとして利用された時、いかに残酷な事態を引き起こすかを教えてくれるという点において、現代にも通じる重さを持った本だった。
 

なお、著者は長い刑期を終え、現在はボランティアとして環境保全活動に取り組み、多くの成果をあげていると言う。
 本作の最終章に詳細に語られているその活動には、かつての熱狂や対立の空気はなく、著者が少年期から望んでいた宮沢賢治の「でくのぼう」的生き方が反映されていると感じた。
若松映画公開を機に読みかえしてみた。 ★★★☆☆
若松孝二の映画「実録・連合赤軍」は、もはや映画という枠に到底収まりきれない強烈なインパクトを持った作品だった。中でも、劇中赤軍派の重信房子と遠山美枝子の関係と共に最も記憶に残ったのが、革命左派の加藤三兄弟を巡る哀しみの運命だ。そして、兄が自己批判、総括の名のもとにリンチ、死に至らしめられた瞬間に居合わせ、自らも16歳の弟と共に浅間山荘に籠城し銃撃に加わっていたのが本作の著者加藤倫教、服役後の現在はNPO活動や環境保護に尽力している人物、私事ながら、私の中学、高校の先輩である。
世界中で様々な問題が噴出し、変革のうねりが巻き起こっていた68年、16歳で初めてデモに参加した時の高揚感と一体感を胸に、拝金主義や出世競争への反感、絶えず弱者の側に立ちたいとのヒロイックな憧れ、正に気恥ずかしくなるなるほどの純粋さと正義感を持った普通の高校生が、学生運動は一種のファッションとの大勢への反発から、更に過激な武装闘争への参加を決意し、そしてあの同志殺しにも加担していく。
榛名山での凄惨な出来事は、映画でも克明に描かれていたが、「おのれの内にあるブルジョワ的思考を克服することが真の革命的共産主義者、戦士となれる」と定義づけ、「精神的思想的に弱さを持つ者に自己批判、総括を強要させ、暴行を加えることは当人への援助である」との指導部の強引な締め付けと狂気の論理で起こなわれ、いつしか全体の中に蔓延する独善的高揚感と猜疑心と自己保身、そして、恐怖から続けられていったと言う。そして、これはフィクションではない、、、。改めて、事実の重さと虚しさを感じつつ、今は地道な活動を行っている著者が救いと思いたい。
内向・思想・でくのぼう ★★★★★
著者の生い立ち、学生運動、連赤事件、服役、社会復帰
が描かれた自伝。文章には、純粋で内気で自然が好きな
少年の雰囲気が漂っている。
特別でもなんでもない、ただ普通の家の普通の子。当時
の多くの少年と同じような道を歩み、いつのまにか山荘
にいたというだけだ。

自由とは自分で自分の居場所を探すということ。この少年
はそれを自然に求め、思想に求め、革命に求め、恋愛に求
め、家庭に求め、今もなお求め続けている。

「でくのぼう」となれる日を夢見て。

連合赤軍の本質とは何なのか ★★★★☆
連合赤軍のメンバーとして、12人にも及んだリンチ殺害と、その後のあさま山荘事件に立ち会った著者が、当時を振り返る貴重なドキュメント。これまでにもメンバーの永田洋子、坂口弘、植垣康博らによる著作があるが、彼らが指導部の立場にあったのに対し、本著の加藤氏は高校を卒業したばかりの一兵士であり、被指導部の立場にあった。実兄がリンチによって殺害される現場にも立ち会っているが、当事者というよりは、一歩離れた位置、客観的な視点から異常なリンチ殺害の成り行きを描いている。

 著者は連合赤軍とオウムの類似性を否定するが、イデオロギーと宗教というパッケージの違いはあるものの、社会から遊離してリンチ、無差別殺人へと突き進んでいくベクトル、その本質に共通する部分を見ないわけにはいかない。「政治的な内容はともかくデモは心躍った。」「自分がそこに存在しているという感覚を味わうことができた。」といった著者の素直な告白が、その本質とは何なのか?のヒントになるかもしれない。20名程度のメンバーが“総括”の名のもとに1人、2人とリンチ殺害を受け、最後には12人が命を落としていく様はあまりにも異常だ。加速度的に客観性が欠落していく様子がよく伝わってくる。

 連合赤軍には関心があり、先に挙げたメンバーによる著書や、大塚英志の「『彼女たち』の連合赤軍」、坪内祐三の「一九七二」も興味深く読んだ。しかし警察の側に立って書かれた佐々淳行の「連合赤軍『あさま山荘』事件」などはあまり読む気にはなれないのだ。

 事件自体は異常なものと認めながら、他人事とは思えない、もっと言い切ってしまえば憧憬めいたものを感じる部分がきっと私自身の中にあるのだ。

素直でわかりやすい文章。少年事件についても考えさせられる。 ★★★★☆
赤軍派について勉強しようと思って手にした本の一冊だったが、この本はそれ以上のことをも私に突きつけてきた。「少年事件」ということである。少年とは、斯くも頼りなく、判断力も無く、根性も無いものか、ということが、この本を読みながら手に取るようにわかった。今巷を騒がす凶悪な少年犯罪!しかし、その多くが案外と一人一人見れば、頼りない、この加藤少年のような子達なのではなかろうか?だからといって、罪を甘くしろというつもりは毛頭ないが・・・。現在環境保護運動などに邁進されている、この加藤倫教さんのように、立派に更生してもらいたいものだ。

それにしても、永田洋子というのは、ヒドイ奴だ!!!こんなひどい女が組織のトップになってしまったというのが、信じられない!!!みんな恐怖からか、只々盲従していってしまうのがまた恐ろしい!!!集団心理というのか、何と言うのかわからないが・・・。一人死んだ時に、何で正気に返れなかったのか!次々と「総括」という名の「殺人」を続けてゆく永田や坂口!革命以前の問題でしょう!人間的におかしい!!!死刑には反対の私だが、この永田や坂口の行状を読んでいると、死刑囚というのにも納得してしまう!それだけ極悪非道!「市中引き回しの上、磔獄門!」って言いたくなってしまう!!!