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武家用心集

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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すがすがしい気持ちになる ★★★★★
時代小説初心者です。
藤沢周平さんの「蝉しぐれ」のような、美しい日本語で
じんわり、すがすがしい、凛とした気分になる時代小説を探していました。
コレはまさにその通りの本でした。人間関係に疲れた人は癒されるかも。

時代小説に興味があるけれど、最初なので簡単に読めるものがいいという人におすすめ。
もちろん、いろいろ読んでいる人にもオススメ。
通勤中や、休日にさらりと読める。難しい用語もないので、とりあえず読んでほしい。
8編全部が面白い! ★★★★★
8編どれもこれも納得の作品。
タイトルどおり、全て武家ものだが、現代に共通する社会問題ばかり。
「人とは如何なるものか? 家族とは、兄弟姉妹とは、嫁とは、妻とは、夫とは」
これ皆、永遠のテーマ。

しかし、最後の作品の「梅雨のなごり」
著者が一番言いたかったことはここに全てあるような気がする。
私もこのような、
強くて優しく、日頃は微塵も感じさせないが腕が立ち、謙虚で妹想い、そんな叔父になりたいものである。
読んで損なしの8編

■ 田蔵田半右衛門:
「人は、望みの少し手前で暮らすほうがいいのかもしれない・・」
人に何を言われようとお人よしで謙虚な主人。とある事件を助太刀し80石に加増されても念願の郡奉行を辞退。まったく目立たない今の植木奉行をそのまま続ける。
「人とは、・・・。妻とは、・・・」

■ しずれの音:
松の枝に降り積もった雪が「人でなし!!」と垂(しず)れた。うごけない母を乗せた荷車を方向転換させ雪の中を引き返す。雪に脚を取られすっ転びながら城から急ぎ下がって来る夫。

「人とは、・・・・・」

■ 九月の瓜:
裃(かみしも)のお奉行が大きな瓜を抱えとぼとぼ歩いている。
それは若かりし頃自分が貶めた親友が作った冬瓜。
「お互い先の見える歳になって、今更15年前の話もなかろう。こうして会えたのは嬉しい、それでよいではないか」

「人とは、・・・・」

■ 邯鄲(かんたん):
普請奉行添役39石の武士。妻と離縁し、14で農家から奉公に来、二十歳となった召使とふたり。何を間違ったか殿から刺客を命じられるも真剣で立ち合ったことは一度もない。「代々伝わる剣の奥義を10代で授けられた剣士」と言っても、その「心構え」僅か数行のみ。自分は死んだときこの身寄りのない娘はどうなる?

「人とは、・・・」

■ うつしみ:
再嫁した先には息子がいる。その後、夫が災害で他界。更に子が嫁を取り女子が生まれるが、母親がすぐに病没。後妻を迎えるが血のまったく繋がらない4人が一つ屋根の下。

「成り行きに任せて望まない結果を見るのが厭なら、女でも言うべきことは言わなければならない」

人とは・・・

■ 向椿山:
西洋医学を学びに江戸へ。将来を約束した娘は5年後21になる。娘盛りを迎え、更に過ぎようとするもその後連絡はない。多くを学び帰国したとき、娘は・・・

「女とは、娘とは・・・・」

■ 磯波:
想い、想われた人を妹に盗られ、その人が婿として義弟に。その企みを知った義弟夫婦はその後疎遠に。夫を諦めさせる為に実姉に結婚を薦める妹。

■ 梅雨のなごり
説明不要。どっぷり浸れます。
「嫌な感じ」を乗り越える ★★★★☆
鶴見俊輔の高評により読んでみた。
世界や世間、組織の網の目の中でしか人は生きられず、そこでは様々な力学によって「嫌だな」という事態や空気が生まれる。その究極が戦時であり、兵士は勿論、銃後の社会でも人間の醜さが全開になる。その醜さは見まいとしても、目に入る。いや、それどころかその醜さを自分に強いてくる。それが世界や世間や組織だ。生きるとは醜いことに加担することだと言い換えてもよい。
そうした嫌な事態を知恵によって何とか迂回し(鶴見の表現。評者は偶然にも支配されると観ずるが)、生きていこうとする人々を描いたのが本書である。評者は時代小説をあまり知らないが、藤沢周平の人情モノと必殺剣モノ、周五郎のテイストも入った上質の作品が多く、随分と愉しめる。
「嫌な感じ」といえば高見順が想起される。あの作品はまだあるのだろうか。
美しい生き様 ★★★★★
 はた目からは、不如意な人生に見える人々の美しさを描いた8短編。人生を損得や勝ち負けで計算高く渡るのが、世間の成功者の常識である。勝てば官軍である。
 しかし乙川は、或いは人に陥れられ、或いは悲運にもてあそばれる者達を敢えて主人公に据える。そしてその人の凛とした美しさを描いてみせる。さわやかである。穢れを内包しながら、それでもさわやかである。「しずれの音」の、母を大八車で引く夫婦の美しさといったらない。お人よしでもいいではないか。
 巻末の解説がまた鋭い。乙川文学の魅力を見事に分析している。
美しい日本語を堪能 ★★★★★
美しい日本語によって奏でられる乙川世界を堪能できる傑作選。
武士の日常や心の綾を、繊細な日本語で綴られており、時に暗殺などの物騒な話も語られているにも拘らず、主人公の心の描写が話の展開の主軸であり、静謐な筆致には心が静まる。
一話一話に心地よい余韻が残され、話の続きを自由に連想できるのも楽しい。