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逍遥の季節

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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逍遥という生き方 ★★★★★
『麗しき花実』に登場した金次郎が、理野のほかにもこんな女性と・・・ついむきになりそう。三弦あり「器量で売る女が年行きになって捨てられるのを見てきた彼女は、その後も芸に打ち込んだ」「魚河岸で聞くような濁声に・・・振り返ると祖母はもういなかった」、端然として確かながら一本橋を渡るようなスリリングな感のある茶道。抱一、鈴木其一、そして作画の雨華庵。根付を作る女、野草をつかう染色家、女師匠の援けがあってこそ家族のしがらみを受け入れる女髪結。舞と華道の競演、池坊系真流をする自分を重ねながら・・・。芸を磨いて独り生きる女性が美しい、その芸たるや並みでない。けれど彼女たちの生き方が、颯爽として奥深く、決然として静謐な日本文化の極致を映し、死ぬときに後悔しない生き方を目指す私に、深呼吸したいほど広々とした清明な夢を抱かせてくれる。
しなやかでたくましい女たち ★★★★★
三味線・茶道・絵・根付・糸染・女髪結・舞踊と華道−それぞれを趣味や仕事として身につけた女性たちを描いた7編の短編集。
妾に身を落とした娘や、生きるために必死で掴んだ技能や仕事に打ち込む女たち。立場は違ってもそれらを通じて真に自立していく様が丁寧に情緒豊かにつづられている。
なかに先頃朝日新聞に連載されていた「麗しき花実」の登場人物の後日談のような話が2話ほどあったのが、ファンの私には思わぬプレゼントでした。
特にお気に入りは髪結いの弟子となった娘を描いた「細小群竹」。最後の場面は胸がすうっとするような小気味よさ。思わずがんばれと応援したくなる。
乙川さんの作品は最後の文章が実に余韻をもって心に響いてくる。じっくり味わうというのがぴったりの作品集です。