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母恋旅烏 (双葉文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 双葉社
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読み返すべし ★★★★☆
この本を読んで、はじめは失敗したと思いました。どうも自分には合わない気がして、ほったらかしてしまいました。ある日、読む本がなく偶然この本を再度読み直したら面白い!我慢が足りなかったのか?

内容は、主人公の僕がちょっと変わった家族1人1人について話をしながら進んでいきます。初めは一緒に暮らしていた家族だが、徐々に離散していき僕はしだいに大ピンチに!そこで僕を助けてくれるのは、やっぱり家族か?

自分は姉の部分を斜め読みしてから、全てを読みました。そして、読み返すたびに作者の意図がどんどんと伝わってくる気がしました。お薦めです。

寛二の視点がユーモアさを出している ★★★★☆
前半は、家族全員でレンタル家族派遣業に励む。父に振り回され、けんかしながらも家族全員で励んでいた。後半は、借金を返すために以前にいた大衆演劇の一座に復帰するのである。大部分は、ぼくこと寛二の視点で見たものになっている。小学生のガキかと思ったら、18歳だった。ちょっと物事を理解するのが遅い人みたいだ。寛二の視点だから、素直な見方がされていると思う。その素直さが面白いところだと思う。

うまい具合に、笑いあり涙ありの人情劇に仕上がっているように思う。前半部分は、父と長男 or 父と長女の絡み部分、後半部分は、寛二の成長具合が見ものだと思う。
「人情もの」の話を豊かにふくらめたコクのある一作! ★★★★☆
主人公の父、清太郎は元・大衆演劇のスター。
現在は一家で「レンタル家族」という商売を営んでいる。
相手の希望に応じて、どのような家族も演じるというその商売で、死に別れた息子家族を求めるおばあちゃん、パパを演じて欲しいという愛人の女性、等などかなりのバリエーションで読者の心をくすぐってくれる。
そんな清太郎があるきっかけで、大衆演劇の一座を任せられ、着々と成功の階段を進むあたりから家族の歯車はかみ合わなくなる。
姉が家を出て、兄も出て。清太郎最愛の妻、美穂子さえも清太郎の下を去っていく。
前半は家族を中心に「レンタル」の様子が描かれ、家族の会話シーンもかなりの分量だけれど、後半は清太郎一座が演じる芝居の話を中心にストーリーが進み、家族の会話自体はあまりない。
最終的に力の抜けてしまった父、清太郎を姉と兄が助けに現われるという、笑いあり・涙ありの『人情もの』のお話です。
作者がすごいのは、一見陳腐な話になりそうな上記を、主人公寛二の1人称で語らせることです。
おそらく知的障がい者である寛二くんの語り口は、どこかずれていて、「悲しさ」や「いやな予感」というものをほとんど感じさせない力があります。
だからこそ、清太郎家族のさまざまな点が読者の想像に一任され、このお話をより深いものにしている感があります。
「大笑い」がなかった、ということで4点ですが、本当にすごい人です。
荻原浩は、天才です!
ベタな笑いが好きな方には向いているかも知れないが... ★★☆☆☆
ドサ回りの元座長だった父を家長に持つ極貧の一家の悲喜劇を描いた作品。「レンタル家族」と言う冒頭の設定から、昨今の家族あるいは人間関係の希薄さを皮肉ったペーソスとユーモアを狙ったものかと思ったが、そうした社会問題提起的な深みは感じられない。勿論、この一家は"いがみ合い"ながらも濃密な関係で繋がっている。

冒頭は作者の意図が空回りしている。読者の笑いを取るためには、文章力(会話を含む)が卓越しているか、題材そのものが面白くないと駄目である。人物紹介を兼ねているせいもあるが、四章までは少しも笑えないし、胸に迫るものもない。また、次男の寛二をこうした設定にしているのも理解に苦しむ。単に年齢を若くすれば済む話で、同情を誘う意図が見え、作者の力量不足を感じる。「五、母さんのこと」で、寛二が依頼人の事を、「おかしな人だったね」と言うのに対し、母の美穂子が「ううん、かわいそうな人だった」と答える辺りで作者の善意が見え、作品のレベルも上がった気がした。「六、兄さんのこと」では、それまで空回りしていた言葉のギャグが炸裂し始めた。と思ったら、次章から父の舞台復帰で、また話がシンナリとしてしまう。題名の「母恋旅鳥」の舞台が後半の主題となるが、文字通り、笑いと涙の舞台をパターン通り描いているだけで、新鮮味に欠ける。この一家では、アル中の父よりも長女の桃代の方が破天荒な性格で面白いのだが、作品の中で活かされていなくて残念。母の美穂子(謎の人物)と桃代の女性コンビを中心に話を練った方が、コクのある作品になったのではないか。ベタな笑いが好きな方には向いているかも知れないが、個人的にはチョットと言う作品。
笑いあり、涙ありの家族物語 ★★★★☆
笑いあり、涙あり、これがやっぱり荻原浩!という作品。
主人公は何をやってもダメな父親、花菱清太郎。
大衆演劇の役者を辞めて以来色々なビジネスに手を出すがどれもうまくいかず、
初っ端で一家が営んでいるのが"レンタル家族派遣業"。
ぶっ飛んだ設定も相変わらずで度肝を抜かれます。

そんな夫を支える妻、オタクの長男、元ロッカーで子持ちの長女、
そしてポイントになるのが少し人よりも成長の遅い次男の寛二。
彼が"ぼく"として独特の目線で語る小節がいい味出してます。

それぞれの想いを抱えて家族を離れた兄と姉、
再び旅まわりの芸人を始めた父と一緒に役者デビューした自分。
めまぐるしい周囲の変化と思いもしない出来事に遭遇しながら、
少しづつ成長してゆく寛二の姿が涙を誘うのです。

そして、役者として本気を出し始めた清太郎がピンチを迎えると、
"旅"の途中の兄と姉が力を貸しに戻ってきます。
ああ、家族ってやっぱりいいなぁ、とジーンときます。
それぞれの人生はあれど、心はいつも繋がってる。
何かあれば、やっぱり家族。
お母さんも、きっと・・・・。

前半は笑いが満載ですが、後半はしっかり感動します。
荻原さんの書く中年ダメ男はどれも愛情たっぷりで憎めない。
この一家の今後がすごく気になりますが、
きっと新しい形で幸せを掴んでくれていることだと信じます。