どちらの演奏も、テンポは速めでスッキリと洗練された都会的な或いは現代的な感覚を受けました。
ベル氏の冴えてシャープな弓の動きに、比較的小編成のオケがレスポンス良く答えています。
もちろんクラシック音楽なのですが、ポップスのようなリズムを感じる現代のメンデルスゾーンでありベートーヴェンと思います。
往年の演奏家の持つワビサビ的な要素や、新人のような勢いだけの荒削りなところも無く、音楽に対する理解と表現力、演奏技術のバランスが中間という表現が適切かもしれません。
メンデルスゾーンの方はセンチメンタルな感情の流入を控え、楽曲の持つ音楽性をリスナーに100%伝えることで自己を表現しているようです。
カデンツァも演奏家自身によるものでとても新鮮に感じました。
対してベートーヴェンは少しおおらかな感じを受けました。オケも全体的に盛り上がり、ソロとの対比も明瞭で楽しんで聴くことができました。
私はベートーヴェンの方が名演奏に感じていますがメンデルスゾーンも気に入っています。
録音は典型的なSONYの盤という感じです。オンで明確、ホールトーンは少なめですがDSD方式で微細な音から全奏まで滑らかに録音されています。