本作『Tribal Fusion』は、ヨガとベリー・ダンスの結びつきと相互依存関係を検証。驚異的達人レイチェル・ブライスの指導・実演で贈る、真剣で包括的な内容のビデオだ。長さの異なる3種類の実践パート（それぞれ15分間、30分間、40分間）から構成されており、短いパートにおける実践内容は、長いパートで反復・展開される。ヨガを扱う箇所では、サン・サルテーション（太陽礼拝）、ランジ、後屈（特にバッタのポーズ）などを紹介。一方、本作で取り上げるベリー・ダンスは通常より広義のもので、体のくねりを伴う運動を指し、ヒップ、胸部、肩のエクササイズに焦点が当てられている。ブライスの指導は手馴れた感じだが、少々素っ気ないところもある。たとえば、“ウジャイ・プラナヤーマ”（ヨガの呼吸法で、音を立てながら鼻で呼吸する）の教え方にしても、何の説明もなく、実演もないというのは不親切ではないだろうか。
   本作がターゲットとしている女性ユーザーが、ブライスのベリー・ダンスの動きを真似られるかどうかは疑問の残るところだ。ブライスのテクニックや驚くほど引き締まった体型のせいで、一見すると簡単に思えるが、実際に普通の人間が挑戦してみると、少なくとも途方に暮れてしまうはず。また、ブライスの師のひとりであり、本作の“女主人”でもあるキャロリーナ・ネリッチオは「（ベリー・ダンスの）最大の魅力は楽しさです」と強調するが、それにしてはブライスはあまり楽しそうに見えないし、作り笑いすら浮かべないのだ。とはいえ、大した欠点ではないだろう。これだけの名手となれば、笑いを武器にする必要もないのだから。（Sam Graham, Amazon.com）