国産クラシック入門盤
★★★★☆
このCDは、20世紀日本の作曲家諸氏の作品の中でも、とりわけ日本的雰囲気の濃厚なものを選び抜いた選集です。指揮は沼尻竜典、演奏は東京都交響楽団、総演奏時間は約65分です。NaxosのCDは通常、英語と独語(古いものは仏語も)の解説書しか付随していませんが、当CDを含む「日本作曲家選輯」シリーズには、英語と日本語の解説書がついてきます。
クラシック音楽で日本人の個性を表現しようと思ったら、日本古謡を引用したり、日本独特の音階を用いたり、和楽器を導入してみたり、といった方法があります。どの作品もあの手この手で日本らしさの表現を試みていて、微笑ましく感じます。旋律としても(特に雅楽や「アンドコ」などは)、誰もが一度は聞いたことがある分、親しみやすいといえます。日本の作曲家といえばモダニズムを徹底的に追求した武満徹がまず挙がりますが、複雑難解な彼の作品よりもこのCDに収録されている2つの狂詩曲やオーケストラ版「越天楽」の方が、国産クラシック音楽入門としては優れているでしょう。
録音は、会社自ら「満点」を豪語しているだけあって限りなく完璧に近い。都響はこのCDに収録されているようなメロディアスな楽曲よりもむしろ、武満徹のような前衛的な音楽と相性がいいような気がしますが(黛敏郎の「涅槃」を聴くとよく分かる)、無難にまとまっている感じを受けます。
考えてしまう一枚。
★★★★☆
とても意義のあるCD。
世界に向けた日本発のクラシックCDという企画が面白い。
複雑な気分も感じる。
日本の音楽の盛り上がりは「祭り」しかないのだろうか(笑)?
描写音楽集としてなら納得だけれど。
音楽は人間の内面・精神を描く側面がある。
例えばベートーベンの音楽がそうであるように。
ならばこうもワンパターンに「和風」音楽ばかりでなくても良いのに、とも思う。
最初「おおっ」と感動し、やがて「和風」の一本調子に飽きてくる。
考えさせられる一枚。
和と西洋の合体
★★★★☆
日本の管弦楽を正直まったく知らなかったし、そんなものがあるのかすら知らなかった僕だが、これを聞いてなかなか日本人もやるな、と思った。日本の伝統的な民謡や雅楽を元にした曲は日本人にはどこか懐かしく親しみやすい。
都響の演奏もまあまあ高いレベルにある。しかし個人的な意見としては、祭などでもっと民衆のエネルギッシュで泥臭い味付けをして欲しかった。まあこういう類のCDは皆無に等しいので参考音源としてはいいかもしれないが。
Naxosのモダン・ジャパニーズの最初の一枚
★★★★★
沼尻竜典氏が東京都交響楽団を指揮して、2000年の7月に東京都芸術劇場で収録を行った、日本の管弦楽名曲集である。収録曲は、ソーラン節から肥後のまりつき歌、林檎追分に八木節まで、日本の有名な民謡満載の、外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」に始まり、雅楽の響きを管弦楽で模倣する、ストコフスキーにも愛された近衛秀麿「越天楽」、とても真面目な筆致ながら有名なSF交響ファンタジー1番(ゴジラ)を彷彿とする伊福部昭の「日本狂詩曲」。さらには、これも映画音楽っぽい執拗な響きがユーモラスでさえある、芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」、そして吹奏楽にも編曲されたエネルギッシュな小山清茂「管弦楽のための木挽歌」と続き、トリには21世紀の我らが誇る吉松隆のデビュー作「朱鷺によせる哀歌」を聴くことができる。近代の日本の管弦楽曲の中で、武満徹氏とは別の流れで旋律の美しさを追求した諸氏の音楽をチョイスしていると言えよう。演奏は気負いからか、ある意味優等生的だが、録音も良く楽しめる。
日本の管弦楽もここまで来た!
★★★★★
待望の日本管弦楽曲集です。
録音状況、音質もよく、かなりの高水準だと思います。
お薦めの逸品です。