通説を批判する教科書
★★★★★
本書は、異端の書である。本書は、一応、教科書の体裁をとっているが、これをテキストに講義できるのは、著者のみであって、普通に環境経済学をマスターした教師には使えない。そのことは、著者が一番よくしっており、「まえがき」を読んで頂ければ、理解できるようになっている。本書は、標準的、新古典派の理論で武装した環境経済学は、役に立たないことを現実でもって示している。別著『厚生経済学と環境政策』(岩波書店)と併読されれば、環境政策に取り組む理論的基礎は、押さえることができる。本書の第8章での著者のオリジナルな評価法は、特筆に値すると思われる。環境経済学、環境政策を学ぶ上では、先端を行く書である。環境問題を扱う人には、必読の書であると薦めたい。