2002年夏公開の『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』において、長年にわたって音楽を一手に引き受けてきたジョン・ウイリアムズは、またしても期待どおりの素晴らしい仕事をしてくれた。悲劇の香り漂うロマンスと雄大な英雄物語の両方のテーマを巧みに融合させ、さらに、不吉な運命が近づいている感じもうまく醸し出している。今回は『ファントム・メナス』のような元気で若々しいオーケストラではなく、歴代シリーズの中でウイリアムズの最高傑作に挙げられる『帝国の逆襲』に近い雰囲気で仕上がった。
このアルバムはファンにはたまらない1枚になるだろう。過去のシリーズでおなじみのテーマの数々があちこちで使われていて、この長編大作のスケールの大きさにあらためて驚き、暗い影が射しつつある今後の展開にいつの間にか思いを馳せている。その一方で、ボンド映画のように、長く愛されてきたシリーズの顔となるテーマ曲が健在なのもうれしい。
ウイリアムズは、今回の悲恋物語のために、美しい愛のテーマ曲<2>を作った。せつないメロディーをもった秀作で、このアルバムで一押しの曲だ。この「追いつめられた恋」のテーマはその後の<6>と<8>でも再び登場する。
アクション・シーンの音楽もまた素晴らしい出来栄えだ。<7>と<9>は、テンポの良い緊張感あふれる曲だし、<3>は11分もある驚きの意欲作で、パーカッションを新たに取り入れたり、なんとエレクトリック・ギターまで使ってみせたりする。
不穏な空気が流れ始め、物語は<10><11><12>で一瞬も目が離せないスリリングなクライマックスに達する。特に<12>では、これまでに作られた数々のテーマ曲をぜいたくに使って、やるせないロマンスの結末、手に汗握るアクションの興奮、そして逃れられない恐怖感を、糸を紡いで布を織るように細やかに描き出している。<13>で「帝国のマーチ」(ここでもやはり勝利のファンファーレとして使われる)が本格的に流れ始めると、スター・ウォーズ・シリーズ第1作で演奏されたこの旋律に衝撃的な感動を受けたときのことを思い出さずにはいられない。
これまでに築いてきた素晴らしいキャリアがあってもなお、今回の作品は長く記憶に残るものであり、ウイリアムズが間違いなく映画音楽の巨匠であるということに再び世界は納得するだろう。そしてなによりも、この映画史上他に例のない長編大作の音楽を第1作からずっと担当してるウイリアムズにとって、本作が堂々の第5作目にあたることを忘れてはならない。(Danny Graydon, Amazon.co.uk)
お勧めの13曲目は超豪華トラック!!
★★★★★
・アクロス・ザ・スターズ(2曲目、6,8,12,13曲目にも登場)
この美しいスコアに尽きますが、注目はこのサントラでしか聞けないバージョン(「アナキンのテーマ」+「帝国のマーチ」が最後を締めくくる)が収録されていることです。
・9曲目(バウンティ・ハンターの追撃)
スコア終盤に、クローン兵の大隊列が登場する衝撃的なシーン。急に迫力のあるイントロが始まり、エピソード1で登場したバトルドロイド一斉起動シーンのスコアが。でも何故、このスコアが使用されているのでしょうか。クローン兵はジェダイの”味方”として戦っているが、実はこの時点で、”敵”だと暗示しているのです。ポスターでも暗示が。
・11曲(タスケン・キャンプ~故郷)
アナキンがパドメに、母を死に至らしめたタスケン一族を皆殺しにし
たことを告白するシーン。ダークさが強調されたスコアで、
「ダース・ベイダーのマーチ」も刷り込まれています。クワイガンの「やめろ、アナキン」との声が聞こえて、ヨーダがアナキンに何かが起きた事を悟るシーンでもあり、最後には、かすかに「皇帝のテーマ」らしいスコアも聞こえてきます。
・超豪華な13曲目( ~フィナーレ)
「アクロス・ザ・スターズ」は”特別バージョン”(完全版)です。
フォースのテーマ~ドゥークーがシス・マスターの下へ~
”帝国”艦隊発進~アナキンとパドメの極秘結婚式~エンディング。
特に、「帝国のマーチ」が登場する下り。そして、パルパティーンが勝ち誇るのを横目に「してやられた!」と悔しがる”レイア”の父。
パドメがアナキンの義手を握るシーンはDLP版のみでしたね。
※エピソード1と同様に”完全版”サントラを待ち望んでいます。
よくも悪しくもハリウッドを象徴する才能
★★★★☆
ジョン・ウィリアムスというのは評価の難しい作曲家だ。シリアスなクラシック作品も書いているが、ハリウッドでの活躍のゆえに、そちらのほうはほとんど評価されない。その意味ではコンゴールドやミクロス・ローザ、またはニーノ・ロータと同じような位置にいる。彼の師匠はイタリア人のカステルヌーヴォ・テデスコだが、むしろその作風はリヒャルト・シュトラウスやプロコフィエフからの影響をにおわせる。
彼は多くの映画に曲をつけているが、一連のスターウォーズ作品がクラシックな作品として後世に残りうる唯一のものだろう(あともうひとつ挙げるなら「未知との遭遇」か)。感覚の表面をくすぐるような叙情性とブラスが先導する彼の持ち味は今回の作品にもいかんなく発揮されている。Across the Starsは「7月4日に生まれて」のテーマに酷似している。武満徹のような精神性やショスタコーヴィチのような退廃的な諧謔性は期待できないが、難しいことを言わなければ十分に楽しめる。
音楽が足りなかった。
★★★★★
もったいないことをしました。夏、『スターウォーズエピソード2』が公開する前、あるCDショップ店で、輸入盤のサントラが売ってありました。英語が書いてあってよかったんですが、日本版のサントラを見つけたとき、もう一曲入っていました。ほんとうに、もったいないことをしたと思います。
ついでに私の好きな曲は、暗黒者ザムーコルサントでの追走劇です。
アクロス・ザ・スターズは涙もの
★★★★☆
早速、輸入盤を購入し試聴したが、今回のスター・ウォーズ エピソード 2 クローンの攻撃のサントラは、なんと言ってもlove themeのアクロス・ザ・スターズでしょう。あとはいつものウィリアムズ サウンドで、ファンとしてはもう一ひねり欲しかったように思う。全体としてはS.W.シリーズ最高の出来である帝国の逆襲を彷彿させるものになっており、特にエンド・タイトルでは帝国のマーチのあとアクロス・ザ・スターズが流れ、アナキンが禁断の恋に落ち暗黒の世界に引き込まれる様を見事に表現しており、さすがジョン・ウィリアムズという感じである。いずれにしても、もう一曲新しいオリジナル曲(例えば、フェットのテーマやクローンのテーマなど)が欲しかった。
いずれでる完全版に期待しよう!
美しいメロディ
★★★☆☆
いよいよ公開が近づくエピソード2です。予告の映像に使われている音楽は前作の物がほとんどなのでどの曲がどの場面で使われるかはストーリーを予想しながらしばらく楽しめそうですが今回のアルバムで耳に残るのは2曲めの「Across the Stars」でしょう。前作の2曲目の「Duel of the Fates」はスターウォーズらしいインパクトがありましたが今回の2曲目は人間ドラマとしてのスターウォーズにふさわしいインパクトがありますね。ジョンウイリアムスはメインテーマのような作品も作りながら「シンドラーのリスト」のように美しいメロディも生み出せる。中身の濃いエピソード2にぴったりのサントラでしょう。本編を見たらポイントアップするかも。