赤塚不二夫のピンチ。
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絵画の印象派などは、フランスのパリを舞台に巻き起こりました。
新進気鋭の天才画家が集まってきて絵画に革命を起こしました。
才能が一箇所に集中するということは、臨界点を超えるためのエネルギーを貯めこんでゆくのに必要なことでしょう。
東京の椎名町にあるトキワ荘には、まんがの天才が集まってきました。
しかし、才能の萌芽には時間的なズレがあります。それこそ画家なら死後に認められる、なんてこともあります。
漫画家の場合、大衆に受け入れられるということが成功の大きな要素ですから、才能の発揮は多くの人のハートを掴むことになります。
赤塚不二夫氏は、トキワ荘時代は美少年の少女マンガを描いていた人として紹介されています。
大学の漫画サークルでは「末は手塚か、赤塚か」とよく言ったものです。
語呂のよさもありますが、トキワ荘の時代、赤塚不二夫の世界はまだ世の中に存在していません。
赤塚氏のギャグ漫画は、一世一代といいますか、赤塚不二夫が創りあげた世界だと思います。手塚治虫氏は、ストーリー漫画を生み出し、いわば漫画文化を作り出した人ですが、その手塚氏のジャンルにギャグ漫画はありません。
赤塚氏の苦労はそこにあったと思います。彼だけに道はまだ開けていなかったのです。
石森氏のアシスタントのような仕事で食いつないでいますが、この巻でピンチを招きます。
赤塚氏は、トキワ荘時代を振り返って、実は結構自分にとっては大変であったと語っていたのを覚えています。周りが天才だらけで、自分が劣って見えてしまう、ということのようでした。
確かに、天才と競争する人は大変です。しかし、よく考えると、まだヒット作はないのに、他の天才達と同じように行動できています。手塚治虫さんなどはこういうところを見ていたのかな、と思ったりします。
走る馬はデビュー前の調教で、オープン馬と同じように動けるのだと競走馬の調教師が、語っていました。
トキワ荘時代の赤塚氏は、そういう感じだったのかな、と思ったりします。
発想力・行動力が素晴らしい
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お金のない時代に8ミリを買いみんなで映画を撮るという所に感心しました。
そういう発想ができるからマンガ家なんですね。
最後に映画を撮影した時やトキワ荘時代の写真が載っており大満足です。おすすめですよ!!
藤子ファン必読
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待望の5巻です.1~4巻に比べると恋愛関連の話は少なめですが,
その分トキワ荘の仲間たちとの交流が多く描かれていて読み応えがありました.また,A氏秘蔵のトキワ荘時代の写真が巻末に多数収録されているので,これだけのためにでも買う価値は充分あります.野球の試合でバットを構えるへっぴり腰のA氏の写真はまさに必見です.