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最悪の戦場に奇蹟はなかった―ガダルカナル、インパール戦記 (光人社NF文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光人社
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本物の戦記 ★★★★★
日本陸軍での自身の体験を通して実態を余すところなく、活写している迫力ある戦記物。
古参兵のしぶとさ、逞しさは、他の戦記物の追随を許さない。しかし、若かりし頃の筆者の
写真を見ると嘘のような清清しい青年の顔があり、筆者の壮絶なる戦争体験が嘘のように見える
のは私だけだろうか?
日本軍=皇軍にもし三八式歩兵銃ではなく、自動小銃が装備されていればと何度も問いかける。
接近戦や肉弾戦を主な戦術に置いた当時の陸軍歩兵には、実践経験から自動小銃が有効だと何度も
憤慨の気持ちを込めて書き記している。
負け戦とはいえ、当時の敢闘精神に富んだ陸軍歩兵の様子がよく分かる戦記物です。
ガナルカナルやインパール戦での愚かな指揮官・参謀の指揮の下で、優秀で勇敢な兵隊を消耗し、
満足な戦をさせなかった将官は、いったいなんだったのか?前線に身を晒さない単なる官僚軍人でしかない。
読み進めると悶絶し、涙し、腸が煮え、ただただ餓死同然に死んでいった兵隊への鎮魂歌でもあり、教訓が
ちりばめられたリアルな日本人なら先人の死を無駄にしないと誓う永久蔵書版です。
傑作、そして慟哭の書 ★★★★★
ガダルカナル攻防、そしてインパール作戦と、歴史に残る玉砕戦・敗退の最前線で戦った著者の
体験とその風景から聞こえてくるのは、異国の地で無念のまま朽ち果てた、無数の日本兵の慟哭である。
累々たる死体、食料の奪い合い、人食いすらあったという極限状況においてもなお、
失われない人としての誇りと戦友への愛情、そして家族や祖国への想いには、涙するばかりである

読み進めていくうちに気がついたのは、日本軍の上層部や蒙昧愚劣な指揮官に対する
怒りや憎悪の感情をあえて抑制し、ユーモアすらまじえた著者の軽妙で簡潔な語り口である。
ぐいぐいと引き込まれていく内容と、読みやすさによって、ボリュームある本書を半日足らずで読み終えた。
そして、そのことによって、悲惨極まりない壮絶な戦場の様子がより強烈なものとして胸に突き刺さる。
同時にまた、そんな状況下でも、しぶとく、逞しく生きようとする人の姿にも大きく心を揺さぶられた。

太平洋戦争の実態、欲望、友情と人間愛、憎悪、憐憫と許容、そして日本人の矜持。
あるいは、生き残った人間の思考や行動から学ぶ、生存の必然。戦争と人の本質。
さまざまな物語と教訓が、本書には凝縮されていると言ってもいいだろう。
あらゆる人々に読んでもらえればと強く願う傑作である。
多くの人に ★★★★★
著者の出身地を知ってまず驚いた。私の郷里の隣町である。私の子供時分には、近所のおじさんで南方に出征した経験者が多かった。みな、子供の質問には暗い表情で多くを語ろうとはしなかったものであった。
6年間の長きにわたる著者自身のidentityとは、第124連隊にあった。この福岡を根拠地とした連隊を追うようにして、青年時代の著者は中国、ボルネオ、そして大激戦地の飢餓の島ガダルカナル、そして運命の地、インパールへの死と生の漸近線が殆ど交差する点までを敢えて苦渋のうめきを上げながら、一歩、一歩、巡礼者の如く、徒歩で歩んだのであった。
ガダルカナルでの激しい戦闘よりも更に苛酷であったのは飢餓であった。それは、あらゆる動物、蛇、蜥蜴から死体に群がるウジ虫までを口に入れねばならない、米兵の死体をも口にした兵もいたのであった。大岡昇平の「野火」で繰り広げられた世界がそのまま現実の日常であった。
九死に一生を得た著者が次に向かったのは、運命の地、ビルマインド国境、インパール、マンダリン、イラワジ河であった。その中でも撤退敗走する日本軍の殿を担った著者らが目にしたのは、至る所で折り重なっている数百、数千の白骨になった、あるいは腐乱しつつ死に切れない日本兵の無惨な姿であった。が、それに手を差し伸べる間もなく、来る日も来る日も英軍の爆撃と砲撃に曝されながら、数百キロの道のりを徒歩で、泥水の壕にもぐりこみ、ジャングルを駆け巡り、四十度のマラリアの熱にうなされ、飢えに悩まされながら、まさにはうようにして撤退していったのであった。

この生き地獄を潜り抜けた著者は、運が良かっただけであると謙遜している。
が、しかしそれは幸運でも奇跡でもない。
著者自身の生命を救ったものとは、一番目に著者の持つ高い倫理観、正義感、使命感である。
どのような窮地、死地に己が瀕している場合でも、戦友を絶対に見捨てない、生きていれば勿論、たとえ死んでいると予測しえる場合においてでも。
帝国陸軍の悪評ばかり耳にしていた私にとっては、これらの名もなき下級兵士らが保持していた高い倫理観は、意外でもあり、同時に己の先入観の不明を恥じた。今日の我々が喪失した最も貴重な美質、日本人のidentity、そのものである。

二つ目に、彼らの持つ高い現実検討能力、分析力である。無謀な命令、敵陣深い偵察任務などであるが、であっても、ぎりぎりまでは危険に身をさらす。しかし、引き際もきちんと心得ているのである。そして総合的には任務を全うできる何らかの成果を得て、帰隊する。

三番目に、彼らの合理主義である。旧式三十八式歩兵銃、軍旗への幼児じみた崇拝、軍刀と拳銃しか携行しない、つまり非戦闘員でしかない将校への批判は、現場の古参兵士の声として何度も出てくる。
少数の彼らが英軍の大部隊を撃退した華々しい最後の戦闘が、英軍から多数捕獲した自動小銃で得たものであったとは、現代のゲリラ戦にも通じる実に辛辣な挿話である。と同時に彼らの観察力のしたたかさを物語っている。

最後に、終戦後、降伏し捕虜として抑留中の著者らが、収容所で素人芝居から発展し、数万人の観衆を前に大演劇大会を催すエピソードもしみじみと心を当たれる。血まみれの悪鬼のような戦士が、楚々とした女形を演じるのである。彼らの本職は、和裁の裁縫師、舞台大道具、脚本家、等々であり、様々な職種にわたり網羅されていたのである。
戦争という狂気の世界から、日本人の心性に深く根差す人情物を演じるなかで、ごく普通、日常という貴重なものを取り戻していく人間の心の柔和で柔軟な蠢き、情念を、彼ら自身の物語と完結していくなかでの句読点として、再構成していったのである。彼ら自身の手で、生涯消えることのない深い傷を、なんとか互いの手で止血縫合したのであった。
左右の政治的立場を超え、全ての人に読んでほしいと思う次第であるし、大手メデイアがこのような貴重な事実を何故伝えないのであろうか、あるいは知悉されてはまずいことなのかもしれない。

喜怒哀楽 ★★★★★
激戦と飢えとマラリアと・・・。まさに最悪の戦場を股にかけた、稀に見る体験記。
ガ島からインパールへとたどる道のりはもう例えようも有りません。
しかし、著者の持ち前の気力と運も手伝って、時折、つい笑いが出るところも(大変失礼ですが)。
この本のタイトルとは全く違った点は、最悪の戦場から生還した。だから、奇跡はあったのです。
今だからこそ読むべき良書 ★★★★★
戦史書ではなく、体験記は強く胸に響く。
破天荒な著者はユーモアを時折交えておられるが、飢えと死の悲惨さはひしひしと伝わってきた。
478ページと大容量だがとても読みやすい。