どうして日本人に書けなかったのか
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とにかく一読をお奨めします。感想の言葉がありません、読んでみてください。
日本の戦記書によくある「嗚呼○○の・・・」等の情緒的な本とは全く異なる世界です。最後に解説文で保坂氏が「どうして日本人には、このような内省的な本が書けなかったのか」という下りが印象的です。
たぶんこれほどの戦場を経験した日本人は、生きて帰れなかったのだと思ったとき暗然としました。
ノンフィクションの体験記として、最高の本だと思います。
とにかく読んでおけ
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読んでいて厳粛な気持ちになる一冊。
戦争の最前線が、どんな地獄になるのかを克明に描写していく。
おびただしい死と、だんだんと理性と正常な感覚が擦り切れていく様子が心胆を寒からしめる。
日米両軍の兵士に哀悼を。
誰もが読むべき本
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事実、それを体験した人の言葉に圧倒された。
印象的に一番近いのは、映画プライベートライアンのオマハ上陸のシーンだろうか。軍隊ではなぜ過酷な訓練が行われるのか、なぜ戦場では略奪、暴行が行われるのか。あの映像、この本がその答えかもしれない。
腐乱死体が散らばる中、砲弾、銃弾でめちゃくちゃになった地形にいつまでも潜み続ける。足は何日も乾いたことがなく、仮眠をとることしかできない。そうした状況がいつ果てるともなく続く。
それが戦場の姿。いつしか筆者までも日本兵の死体から金歯を抜きとろうとする。とめようとする同僚に”父親は歯医者だから喜ぶと思うよ”と答える。
そうした姿が冷静な筆致で描かれる。日本兵に対する憎しみ、泥上をすべれば体中に蛆がつく戦場。勝った、そして物資の豊富であったはずの米軍においても戦場は地獄だった。
おそらくだれもが読むべき本だ。私の子供が中学生になり、もし戦記に興味を持つようになったら真っ先にこの本を勧めるだろう。
読んでいるうちいくつかの考えが頭をよぎる。
解説にもあるとおり、なぜ日本人はこうした文章を書くことがなかったのだろう。なぜ日本人には書けないのだろう。
またここに描写されている日本軍の”卑怯な戦法”はどこから生まれたものなのだろう。希望のない中で必然的に生まれた戦法だったのか、あるいは当時の日本においてはこれくらいの卑怯さは”常識”だったのだろうか。
日本人としてどう受け止めるべきか、、、
★★★★★
この本は、太平洋戦争におけるペリリュー島・沖縄の戦いを記した一海兵隊員の回想録
によるもの。米兵にとっても、この戦闘が、多大な犠牲を余儀なくされた、辛く苦しいもの
であったことが赤裸々に描かれている。ただ一方で、日本人である私がこの本を読むとき、
非常に複雑な気持ちであったことは否めない。今まで日本軍の一方的な負けいくさとばか
り思っていた沖縄戦において、個々の戦闘においては、想像以上に米軍と互角に戦ってい
ることを少し誇らしく感じたり、日本兵の死体(ときにはまだ息のある兵士)から金歯を抜く
等、戦利品あさりをする米兵達の行為に怒りを覚えたり、それでも、戦友を次々に失って
悲嘆に暮れる著者(米兵)に同情したり、、、と。硫黄島の戦記と共に、日本人として考え
させられることの多い作品です。
克明な戦場の記述に圧倒される
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476ページにわたる本だが、一気に読んでしまった。車に乗っても信号待ちが待ち遠しい。いくら眠くても読んでしまいたい。そんな本だ。戦記はたくさん読んだが、このような内容のものはなかったように思う。
本書は、
1.戦場のありさま、兵士の状況がよくわかるという点、
2.アメリカ軍から見た日本軍という点
3.アメリカ軍の上官と部下の関係という点
以上、三つの点で非常に優れている
戦場のありさまについては、
現地での詳細なメモを基にしたから書けたのだと思うが、その描かれている内容は、なんとも強烈だ。
巻頭の端書に次のようにあった
「時の癒しのおかげで、今では夜中に悪夢から目覚めて冷や汗と動機に襲われることもなくなった。つらい営みであるが、ようやく私は自分の体験を書き上げることができるようになったのだ。」
読了して、この意味がよくわかった。
2と3については、日本の戦記をいくつか読んだことのある人には、驚きの連続だろうと思う。
戦記としてもお勧め、日米の社会の違いを知るためにもお勧めの本だ。
予想通りのおもしろさ
★★★★☆
予想通りのおもしろさ