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ベルリン陥落 1945

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 白水社
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第三帝国の黄昏を冷静に描く ★★★★★
多くの書物が取り上げ、最近の映画「ヒトラー最後の12日間」でも描かれたベルリン攻防戦の最終局面。多くの証言や引用を用い、多角的に第三帝国最後の攻防を描写している。ベルリンの市街戦は言うに及ばず、特にソ連軍の侵攻により多くの被害を被った東プロイセンの状況やオーデル戦線、ハルベ包囲網突破の実情が生々しく描かれている。凄惨な戦闘の中、犠牲になった多くの市民や兵士の遺骨は今でも発掘されるという。この犠牲を強いたナチス政権の無能ぶりは明白だと締めくくるビーヴァーの意見に共感を覚えた。読み応えある一冊。
戦史だと思って読むと... ★★☆☆☆
タイトルからして戦史に興味を持つ人が手に取るのではないかと思いますが、そういう興味は満たすには少々物足りないのではないかと感じました。ソビエト軍の内情についての記述など興味深いですし、末期戦に興味のある人にとって馴染み深い部隊が登場するのは喜ばしいのですが、どちらかというとツッコミを入れて楽しむ箇所のほうが多いかもしれません。
個人的な感想としては、巻末で解説の人が持ち上げているほど見るべき点は無いように思います。兵器に関する訳注はいい加減で頂けません。訳語も一部ユニークなものがあり、変な意味でおもしろいです。
ボリュームの割には安価だと思いますが内容に見合っているかは評価が分かれるところでしょう。
小説としては最高なのだが・・・ ★★★★☆
 文章が上手で、地図も見やすい。 大冊ながら一気に通読できる。
だが戦史・外交史としてはいただけない。 4号戦車をしばしばティーガーと誤記したり、FW189偵察機をFW190戦闘爆撃機と混同したりしている。 三大国の秘密会談の場面ではまるでスターリンやチャーチルが著者に本心を打ち明けたかのような記述が見られる。 あくまで小説であって論文ではないのだが、出版前に原稿を専門家に校閲して貰っていればなあと思ってしまう。 それでも読みごたえ十分。 買って損はないと言える。
イラクの米兵も同じような思い込みの中にいるのではないか? ★★★★★
 赤軍の戦争状態が長引くにつれて、スターリンは「戦地妻」の容認に踏み切ったが、そうした「戦地妻」はドイツ女性へのレイプに対して「わが軍兵士のふるまいは、絶対に正しい」と言い放つ(pp.72-75)。これなんかは、イラクの刑務所で囚人たちを裸にした写真に納まった、アメリカ軍の若い女性兵士を思い出させる。赤軍の兵士たちは「ヨーロッパをファシズムから解放する道徳的使命を引き受けたからには、個人のレベルでも政治のレベルでもまったく思いのままにふるまうことができると」(p.76)思い込んでいたに違いないとしているが、イラクの米兵も同じような思い込みの中にいるのではないか。

 ビーヴァーによると、赤軍兵士のドイツ人女性に対するレイプは4つの段階に分けられるという。第一段階は、ドイツに攻め入り、その領内の生活水準の高さを知った赤軍の兵士たちが怒りを燃やして、その怒りの矢を女性に向けていた段階。この段階のレイプには激しい暴力を伴っている。第二段階はやや落ち着いたものの、性的な戦利品として扱った段階。

 次の段階はドイツ人女性の側からの接近として考えられる。レイプに暴力が伴わなくなれば、飢餓が進行する中であれば、特に食べさせなければならない子供をかかえている女性は、食物と交換で積極的に春をひさぐ段階だ。第二次大戦期の米軍兵士にレイプが必要なかったのも、大量にタバコや食料を保有していたからだ、としている。この段階でレイプと性的共用の区別はあいまいになり、最終的な第四段階では、「占領地妻」として同棲するようになっていったという(p.607)。

かつて、そしていまも語られる神々の黄昏 ★★★☆☆
ベルリン。かつてはパリすら凌駕すると謳われた都市。その悲劇的な終焉は、ある種の暗い魅力で人の心をざわつかせずにはおきません。
なんとなれば、物書きこそ魅入られるというものではないでしょうか。
ノンフィクション/フィクションを問わず数多くの作家、売文家、劇作家、漫画家、フェミニストらが、この第三帝国帝都の最後の幕間を自らの著作としました。

スターリングラードに関する著作で高い評価を得た著者が、この主題を扱うことになるのも当然の成り行きでしょう。
実際、読みやすく地図も判り易いのですが正直な所、目新しさを感じませんでした。
先にコーネリアス・ライアンによる66年出版の「ヒトラー最後の戦闘」という名著が存在するのですから、何らかのアドバンテージが欲しいところです。もちろん、60年代に知りえなかったソ連側の情報などは興味を引くものではありましたが、この価格を考えると相応だったかは疑問です。とはいえ、「ヒトラー最後の戦闘」は絶版のまま。第三帝国の最終局面を知るのには現在のところもっとも良い本かも知れません。