目次はこんな感じ
★★★★★
購入の際、参考になればと思い、目次を書いてみました。
安岡氏の本をはじめて読む人にも読みやすい内容だと思います。
■組織盛衰の原理――――――――――――――――――――――
・近代中国にみる興亡の原理
中国興亡史ほど面白いものはない
王永江―――旧満州の諸葛孔明
湯恩泊将軍
窮すれば通ず
・明治・大正・昭和三代の盛衰
思考の三原則
明治維新を成功させた三つの力
「人間教育」を忘れた明治の失敗
人間学の欠如が招いた満州事変
アメリカの占領政策―――3R・5D・3S政策
・兵書に学ぶリーダーの心得――孫子・呉子・六韜三略より
■東洋思想と人間学―――――――――――――――――――――
・「万世ノ為二太平ヲ開く」――終戦の詔勅秘話
「時運」と「義命」
六然―――得意澹然、失意泰然
六中観――壺中天あり、意中人あり
・人生の五計――人生観の学問
・見識と胆識
・人間学・人生学の書
■運命を創る――――――――――――――――――――――――
・運命を創る――若朽老朽を防ぐ道
酒の飲み方で人を見る――三菱流人物鑑定法
「運命」は「動いてやまざるもの」
『陰隲録』――袁了凡の教え
いつまでも「えび」の如く脱皮せよ
なぜ「足る」なのか
「眉毛を吝まず」の意味
専門外、異分野の友人を大切に
人生の一原則「六中観」
人格的・人間的定年
・次代を作る人々のために
卒業は始業(Commence)
個々人が主体性を失えば組織も崩壊する
主体性を回復するための十八箇条
人に嫌われぬための五箇条
八観法――ダイナミックな人物観察法
六験法――感情を刺激して人を親察する法
・若さを失わず大成する秘訣
自分の殻、仕事の殻、会社の殻
心に一処に対すれば、事として通ぜざるなし
専門家ほど”居眠って”いる
人間修養の書
■「気力」を培う養生訓―――――――――――――――――――
・敏忙人の心身摂養法
精神を発剌とさせる三つの心がけ
病気をひきおこす十の因縁
静坐の効用
医食同源――食物は薬である
記憶力、頭脳力を増進させる食物
・憤怒と毒気
・解説
本質的要素
★★★★★
口述なので大変読みやすく、それでいて教養に溢れた本です。
人間には本質的要素と、付属的要素があり、本質的要素は徳性(道徳性)、付属的要素は知性や技能だと語られています。つまり知識や技能は無くても何とか生きていけるが、道徳性が無ければ人間として生きられないということです。
その本質的要素を身につけるために読むべき本として「古事記」「四書五経」その他にもたくさん挙げられていますが・・どれもこれも、歴史の授業で名前だけ習ったけど、読もうと考えたことすらない本(漢籍、古典)です。というより名前すら知らない本が大半です。私に本質的要素が足りないのも、無理はないかもしれません。
知識を身につけ、いい大学を出、難関の資格を取りさえすれば、人生困ることはない・・とつい思ってしまいますが、本質的要素を磨く努力も必要なのだと思いました。
学校教育では付属的要素しか得られないので、本人の努力、家庭教育が不可欠だとも書かれています。
大変勉強になりました。
考える・行動する時の原則があります
★★★★★
本書で、ものごとを考えるにあたっての3原則が示されています。そのまま書かせていただくと、
その一つは、目先にとらわれないで、できるだけ長い目で観察するということであります。
第二は、一面にとらわれないで、できるだけ多面的、できるならば全面的にも考察するということであります。
第三が、枝葉末節にとらわれないで、できるだけ根本的に観察するということであります。
この三つの原則は、色々な判断をするときに必要です。
そして、六 然に感銘を受けました。これは崔銑(さいせん:王陽明と同時代の人)が述べたものです。自処超然 、処人藹然 、有事斬然 、無事澄然 、得意澹然 、失意泰然 で六然となります。
昔、父から 「得意澹然(たんぜん) 、失意泰然」と言われたことがあります。なぜかこの言葉は印象に残っていました。つまり、ものごとがうまく行って得意な場面ではあっさりしており、ものごとがうなくいかない失意の時は、泰然自若と自然にするということです。父が言っていた事が六然から来ているとはじめて知りました。
あと、「名士というのは無名の間が名士であって、いわゆる名士になるに従って、メイは迷うという迷士になる。そのうちにだんだんに冥土の冥士になる。」との言葉は、心に留めなければならないと感じました。
本当にためになりました。
by 藤末健三
色あせない忠告
★★★★★
2005年4月に中国各地で発生した反日デモを毎日のようにテレビニュースで見ていて、暴徒の凄さや、中国警察官の対応、中国政府の反応に接し、両国に横たわる溝の深さに改めて寒気を覚えた。そんなおりに本書を読んで、眠っていた頭が目覚めるような驚きを覚えた。そして悲しくもあった。
昭和50(1975)年の講演の一節。
「これだけ深い関係にありながら、日本人がいっこう本質的、深い意味におけるシナを知らなかったということであります。今日の日本の指導者階級、あるいは友好評論家階級ぐらいシナ中国を知らざること甚だしいものはない。知るといえども、浅薄であります。これは残念というよりも危険なことでさえあります」
30年も前の忠告がまったく色あせないで生きている。わたしたちが自分を修めていくとき、隣国にも思いを馳せる気概を本書で学べたらと思う。
人生座右の書
★★★★★
書の中である如く、「人生における座右の書を持ちなさい」と。その座右の書になるべく本である。「仕事に関する本はもちろん読まなければなりません、しかしそれだけでは、人間としての幅がありません。」人生に対する考察をした書物、昔から読み継がれてる書物を座右の書としなさいと言う著者には、誰しも同意するであろう。東洋の書物のみならず、西洋の名著の数々をあげて推薦してる章は、読者にとってついついそれらの書物を手にとって読みたくさせる。
日常の生活の中で人生に対して考える時間を持つことの大切さをしみじみと味わせてくれる本である。