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運命を開く―人間学講話

価格: ¥1,529
カテゴリ: 単行本
ブランド: プレジデント社
Amazon.co.jpで確認
参考までに ★★★★★
感想については他の方がレビューしているので、私は参考のために目次を書いてみました。
よく問題となる教育についても書かれていました。

また、「運命を展く――人間はどこまでやれるか」の項目は、別の著書「青年の大成」にも丸々収録されていました。


■活人活学
 ・現代に生きる「野狐禅」――不昧因果の教え
    因果の法則を昧(くら)ますな
    山田方谷の理財論

 ・家康と康熙帝―――守成の原理について
    国家興亡の四過程
    創業者は垂統に拙い
    道義性培養に成功した家康
    康熙帝のインテリ操縦法
    
 ・漢字のマネー哲学
    「姦」は”多くの女を操縦する”
    「才」は”少し頭を出したばかりの能力”
    「濟」とは、すべての関係者を立派に伸ばすこと

■「人間」を創る
 ・「人間」を創る―――親と師は何をなすべきか
    少数支配者の専制
    人間の四要素―――徳性、知能、技能、習慣
    人間は十七歳でできあがる
    家庭教育についての大きな誤解
    人格・道徳教育を欠いた学校教育の失敗
    「尋常」の意味
    <付>”人間学”に疎い部課長の醜態

 ・父親はどうあるべきか―――細川幽斎と西園寺公望
    自尊心を失い権威を放棄する父親
    細川幽斎と西園寺公望の場合
    
 ・「道徳」の美学
    人間としてのあり方を美しく自然にするもの
    教育とは「垂範」である

 ・東洋哲学からみた宗教と道徳
    本源を忘れた宗教教育の失敗
    宗教の本義
    「易」の理法からみた宗教と道徳
    
■運命を展(ひら)く
 ・中年の危機―――樹に学ぶ人生の五衰
    幸田露伴の樹相学
    「男」の説文学
    案山子の語源

 ・大成を妨げるもの―――”専門化”の陥し穴
    分派、末梢化の弊害
    <付>有名無力、無名有力

 ・夢から醒めよ――邯鄲の夢
    人生とはこんなものだ
    運命の厚薄と徳の厚薄
    
 ・運命を展(ひら)く――人間はどこまでやれるか
    ”脳潰瘍”にならぬよう
    頼山陽、山田方谷、橋本左内の場合
    直感にすぐれた頭脳こそが最上
    思想・理論の陥し穴
    人間の念力の偉大さ
    病弱に克つ―――ヘレンケラー、セシル・ローズ
    貧乏に克つ―――三浦梅園、勝海舟、高橋泥舟
    愚鈍といわれたナポレオン、ニュートン、中井竹山
    多忙をバネにした飯田黙叟、直江山城守、王陽明
    寸陰を惜む―――枕上、馬上、厠上
    勝因と善縁―――良き師・良き友を持つ
    老年になっても壮心を持て

■養生と養心
 ・養生と養心―――易学からみた心と体の健康法
    過密化は人間を破滅させる
    世界を駆けるエリートは肝臓にご注意
    天人一体観―――人間は最も偉大な自然である
    トインビーが応用した「陰陽相待性理法」
    理知は酸性(陽)、感情はアルカリ性(陰)

 ・「敏忙」健康法
    敏忙のすすめ
    四耐
    濁世の五濁(ごじょく)
    十纏

 ・流風余韻

無限の情報 ★★★★★
 この本を読んで思い浮かんだのは、「漢字」をダブルクリックして開いた途端、人間を理解するための哲学が飛びだしてきた、という情景だ。漢字は、フロッピーに膨大な情報が詰まっているのとよく似ていると思った。
 読み解くときの注意事項は、人間を理解したい、という精神を忘れないことだ。考えれば考えるほど「漢字」は人間を深く味わえるし、自分の運命も開いてくれる。
 ぼくにはためになる本だった。
人生の糧になる本 ★★★★★
最近安岡師の本にはまっています。元々安岡師は難しい、深みのある内容を実に平易に語る、書く方ですが、この本は講演録なので更に読みやすく、且つ内容の深さは少しも損なわれていない。やっぱり素晴らしい。

この本の中に、私淑する人をもつべき、とあります。安岡師は既に鬼籍に入られていますけど、これからまだまだ師の本を読んで私淑したい、私淑するに値する学識、人格、志、仁徳・・・、全てを備えられた師だと思います。

巻頭の「始終訓」から「野狐禅」から一言一言が人生の糧になる本です。この本に共鳴する人が日本に世界に一人でも多くなればこの世は日本は地球はもっともっと良くなる。だから沢山の方に読んで欲しい。

色々な漢字の起こりの説明が面白い ★★★★★
著名な陽明学者で、平成の年号の考案者として知られる安岡正篤先生の本です。
本はよく読みますが、
久しぶりに面白い本を読ませていただきました。
私は、本を読むとき、面白いと思った箇所にマーキングしますが、この本は、いっぱいマークがつきました。

面白いと思ったところを抜き出しますと、

1.漢字の意味を説明しています。例えば、

○囲みの中で、人が立っているのが「因」と言う字で、人が何かに守られている状況。「恩」と言う字は、因をありがたく思う心が入ったもの。
○人が言うことは、まことでなければならないので、「信」という字ができた。
○また、人が為すと、つまり自然でないと「偽り」になる。

○才能の「才」は、地面から少し出た芽をあらわす。横棒の下は根っこを表す。つまり、才は少し頭が出てきた状況を言う。
○人が貝(お金の意味)の上に立つと、「負ける」となる。お金にたよると負けとの意味。
など面白いですね。

2.東洋的な尊敬の念が大事だということで、「私はあなたを愛している」というよりも「私はあなたに参った」と言うほうがよい。
参るということは、尊敬するものに近づくことであり、あなたに参るというのは、あなたを尊敬するとの意味になり、愛しているという西洋的なことばより、意味が深い。

3.「有名無力無名有力」。有名になると力がなくなりやすい、無名で力を持つようになるべき。

4.橋本左内の啓発録において5つの心構えが書かれている。
「稚心をされ(甘えをなくせ)」
「気を振れ(元気を出せ)」
「志を立てよ」
「学を勉めよ」
「交友を択ぶ」

啓発録については、中国清華大学の紺野教授(日本人)が英訳を書かれておられ、それを拝読させていただきましたが
、安岡先生の解説を読んで始めて意味が分かりました。

5.古い中国に「三上」ということばがあり、如何に自分の時間を作るかを書いている。
「枕上」:寝る前の時間を使え
「馬上」:移動中の時間を使え
「厠上」:便所の中の時間を使え

おそらく相当昔に作られた言葉だと思いますが、
これは現在にも通用すると思います。
私も本を読むのは、電車の中、布団の中、トイレ+風呂が多いので
知らぬ間に三上を実践しているなと思いました。

以上 藤末健三