これを24年前に書いておられたというのには驚きです。書店で松下幸之助の本を買う際に、隣にディスプレイされていたこの本を買ったのですが、買って良かった。今の世の中で問題になっていることが既に24年前に危惧されており、新しい本ばかり読むのではなく、安岡先生のように多くの人に影響を与えた人の本を読んで学ぶことも大切だと感じました。

　「敬」する心が起こると、自分と比較して必ずそこに「恥ずる」心が生まれるという。「敬」を知る人は「恥」を知る人になる。「憧憬」が生まれ「つつしむ」「恐れる」「修める」という気持ちが湧き始める。なるほど、と思う。そのときから著者に対する「敬」の心が起こる。
　儒家・道家・仏教という東洋思想の中から、人間を修めて「人物」を作り上げていく大事な言葉を、味わい深く解説してくれる本書は、メモを用意しながら読みたくなる良書のひとつだ。

胆識ということばに惹かれて安岡氏の書を手にしました。
政財界のリーダーの精神的支柱となられた方の講話集だけに、一度読んだだけではなかなか理解できませんが、仏教、儒教、老荘思想などの基本を学びつつ、徳、仁を基調とした人間のあり方を丁寧に解きほぐして書かれているようです。

手元において、何度も繰り返し読んで、じっくり味わいたい書だと思います。