存在の正当化
★★★★☆
世界一周中の豪華客船に持ち込まれた天才画家の自画像を巡る陰謀。仕事のためにその客船に乗り込んだ主人公達は、完全な密室である航海中の船内において男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。 自らの意志に基づいて選択を行っていると思ってしまうことは、存在の正当化でしかなく、偶然性を孕んだ錯覚なのかもしれません。
「いろいろな思惑があって、それらが交錯している。人はそれぞれに観察できる現象を解釈し、そこに理由付けをするのよ。良いことと悪いことの区別をして、自分の設計図を画く。未来のあり方を思い描き、自分で何もかもを決めていこうとする。そう願っている。それができると信じているの。だけどね、結局のところ、歩くときに、どちらの足をさきに出すかの違いでしかない。人間の選べることなんて、せいぜいが、それくらいのちっぽけな差でしかないわ」
今回はやられました。完敗です。
★★★★☆
森博嗣Vシリーズ第6弾。豪華船でのミステリィ。航海上で一人がいなくなり、絵が盗まれる。いろいろな可能性が提示されますが・・・。やられました。完敗です。裏の裏の裏をかかれたって感じ。さすが森さんですね。ただ、ますます、主人公の保呂草がきらいになったので、星ー1個です。
タイトル通りロマンティックな作品
★★★★★
本作は船に乗るまでの冒頭部分が長く、これが好き嫌いを分けるかもしれません。
私はかなり好きです。
その冒頭部分で描かれる、建築家の羽村と理系学生の大笛の出会い、そして会話が魅力的です。
大笛という女性は、これまで恋人がいなかったのかな、これが遅れてきた初めての恋なのかな、などと思って共感して読んでいました(笑)。
著者はこういう女性の細かい心情を描くのが上手いと思います。
Vシリーズでお馴染みの保呂草語りによるプロローグとエピローグが、すっかり病み付きになってくるシリーズ第六弾です。
やっぱり保呂草さん、文句なくカッコいいですよね(笑)。
Vシリーズ一かも?
★★★★★
この作品は最後にあっと驚くタネ明かしがある。
途中で気づくはちょっと難しいかもしれないが、私もラスト3ページくらいで気づいた
ので、結構わかる人は多いかも。
保呂草が今回大活躍で、正体の掴めない泥棒っぷりを
遺憾なく発揮。何気にこれが本作の最大の魅力だろうと思う。
紅子はいつもの謎解きがあるにはあるが、まぁちょっととってつけた感は感じた。
登場人物などは前作『魔剣天翔』を読んでないとわからない人が多々いるのでそれだけは
注意。
保呂草大活躍!?
★★★★★
トリックもさることながら,保呂草を主軸にした人間関係が面白い。
Vシリーズは保呂草の記述という設定の文章であり,それを利用したトリックが多い。本作もその範疇に入る。
とにかく,恋愛にしても泥棒にしても,保呂草さん活躍しすぎの感がある一作。
ただ,船に乗るまでの前振りがけっこう長いので,我慢して読んでください。事件自体とも大いに関係がありますから。