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たんたんたたた―機関銃と近代日本 (光人社NF文庫)

価格: ¥820
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光人社
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やはりね、そういうことだったんだ ★★★★★
本書によれば、「東京砲兵工廠の設計課長に南部麒次郎が就任し、翌一九二〇年七月から、三年式機関銃を7.7ミリ化する研究に着手したときには、これからの重機関銃は飛行機や装甲車も撃つのだと見通す戦史眼/戦術眼は、なかった……」と。
日華事変の初期、中国軍が装備するチェコスロバキア・ブルーノ社製機関銃(鋼材、工作機械ともにチェコから輸入して中国でノックダウン)にアウトレインジされた日本軍は、慌てて92式7.7mm弾を使用する99式小銃、機関銃に切換え対抗しようとしたが、日本の工業力では、ときすでに遅く、全面切換不可能に終わって、第2次大戦の最後まで三八式用6.5mm弾と2系統の併用を強いられるはめに陥った。そのせいで、弾薬補給に大変な混乱をきたしたことが日本軍敗因の有力な一つとさえいわれている。
歩兵装備には有坂銃を改良したていどの6.5mm系小銃、機関銃で何ら差支えなく、いっそう強力な銃弾が必要ならば、機関銃中隊のみの配備とすれば何も問題は生じなかったはずと誰でも考えつきそうなのに、世界の軍事専門家が揃って首を傾げるような大失敗を日本軍がやらかしたというのも、じつは、飛行機や装甲車が登場する戦場というのを想像することに失敗したのが真因というわけだ、と。
明治の日本軍が、それなりにくらいは成功していたのに対し、なんで、昭和の日本軍は、あらゆる点で失敗に次ぐ失敗を繰り返してしまったのか。
本書が取り上げているのは兵器工業技術の面から見た日本の軍事史。
しかし、これを追求するとなると、やはり軍事行政の面、とくに兵器行政を当時リードしていたのは陸軍の誰なのか、その陸軍人事にまで踏み込まないと、読者の関心に応えることにならないのではないか。
次は、陸軍の人事を取り上げてみてはどうか。期待したい。
自動火器を通じて見た日本の技術史の概観 ★★★★★
11年前、版元の休業とともに絶版となりながらも復刻が待たれていた一冊である。
南部麒次郎と言っても、今や銃器ファンにしか記憶されていない名前だが、明治、大正、昭和と生きた兵器技術者、そして製造企業家としての彼の足跡を通じて日本における自動式銃器の歴史を浮かび上がらせるという大変に興味深い切り口の軍事技術史である。
19世紀後半以降、短時間に1正面に対して投射する火力の多寡が戦争の勝敗を決するようになると、その目的のための機関銃、機関砲、自動銃の良否に各国が鎬を削るようになった。そんな中で一刻も早く列国に追いつくことを至上命題とした日本軍もなんとか国産化した優れた自動火器をそろえようとしたが、いつもあと少しというところで劣後してきた。それはなぜか。
高度に精密化する兵器を大量生産するにはそのための公差に対する厳密さをまるでいつも水を摂取するように自分達の血潮として自ら叩き込む習慣を身につけねばならないが、日本軍と日本の技術者はそれに失敗したのではないか。これが著者が問いかける仮説である。
この問いかけは、経済、社会の高度情報化の中でやはりソフト面で少し水をあけられている今の日本にとっても今日的課題といえるのではないか。この本を叩き台にそんなことを議論できると言う意味で復刊されたことを歓迎すべき良書の一つといえる。
一般ウケしないだろうが、自動火器製造の歴史をひもとく貴重な労作。 ★★★★☆
 兵頭氏が10年ほど前に出版した日本自動火器の歴史書が文庫版で復刻された。

 慶応3年のガトリング砲入手から日本と自動火器のつきあいは始まる。長岡藩で使用されたアレである。その後、村田、有坂、南部(ニューナンブで知られるミネベアの祖)と陸軍による自動火器開発が続くのだが、この3人の後、著名な技師が軍内部から出ることはなかった。終戦まで日本は西洋の機関銃に追いつくことが出来なかった。

 原因は精密工業製品の大量生産には、製品の精度を上回る精度の工作機械が要求される。歴史を振り返ると、戦前の日本人はそこに思い至らなかったらしい。

 兵頭氏はそれを、明治四年の西洋使節団が「有形の理学」を希求するよう進言したときに、西洋文明の「無形の理学」まで理解・表現できなかったことを原因の一つとする。今でも日本人にはイノベーションを生み出す何かが少し不足しているかもしれない。まこと、歴史は様々な角度から見るべきものである。
図版がない ★★★☆☆
 近代日本で使用された機関銃についての歴史。幕末に輸入されたガトリング砲から艦載された25ミリ対空機銃までを扱う。前半部分までは当時の国際社会情勢等とからめて話が進むので面白かったのであるが、後半に入ってからはスペックの説明が多くなっている上に図版や写真が一切無いのが辛かった。何かの設定資料として使用するのであれば力強い味方となってくれるであろう。