本書は国民学校の教科書、いわゆる初等教育の教科書の記述を追って解説しています。1941から1947年までという短い時間にだけあった制度の中で記述されたもの。この検証は興味深い。戦後の反省事項というのはまさにこの時期を中心に存在するわけであるから、この部分の検証により、現在のわたしたちの思考はクリアーになることとおもわれる。
本書の中には教科書のテキスト部分だけではなく、挿絵や教科書の像が取り込まれているので、当時の子どもたちが使っっていたであろうことが実感しやすくなっている。
著者が述べる次の記述が心に残った。
「超国家主義思想を刷り込まれた子どもたちの不運は、一体感のなかに、横並びの価値観のなかに自己を埋没させる快感 - 判断停止のラクさを知ってしまったことである。そしてもう一つの不幸は・・・-」
あとは本書を読んでもらいたい。当時の教科書をみて浮かび上がる問題は現在のものであることがよくわかることともう。