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狭山事件の真実 (岩波現代文庫)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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戦後の数多い冤罪の原型である ★★★★★
 戦後の数多い冤罪事件の中でも、悪質さにおいて最悪の部類に属する「狭山事件」を丹念に追いかけている。本書は、著者の「狭山事件−石川一雄、41年目の真実」(草思社、2004年)を加筆・修正したもので、最高裁への三度目の再審請求の状況についても言及されている。

 犯人とされた石川一雄氏は31年に渡り収監され、1994年にようやく仮出獄した。狭山事件は、被差別部落出身者への先入観に基づき、粗雑な捜査と、「証拠」の捏造、およびそれに基づいた「自供」で作り上げられた事件であった。このような取調べを真に受け、現地調査すら行わなかった裁判の公平性にも深刻な疑問を持たざるを得ない。

 事件当時十分な筆記能力を持たなかった石川氏に書けるはずのない「脅迫状」、「自供」とは異なる遺体発掘現場や遺体の状況、根こそぎ捜索したはずの石川氏自宅の鴨居から「発見」された万年筆など、客観的に見れば石川氏の冤罪は明らかである。自供に至った経緯も、捜査官の「白状すれば10年で出してやる」との「約束」を信じたということであり、当時の状況を見れば同情せざるを得ない。

 本書は1963年の事件ではあるが、警察・検察の予断を持った捜査、証拠の捏造、被疑者を精神的に追い詰めることによる自白、真実から目を背けた裁判など、戦後の数多い冤罪事件の原型ともいえるものである。再審請求が認められ、一刻も早く公平な裁判で石川氏の無実が晴れる日を願いたい。