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アメリカは、キリスト教原理主義・新保守主義に、いかに乗っ取られたのか?

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 作品社
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新自由主義は自由ではなく隷従をもたらすのか? ★★★★★
 ハイエクの流れを汲むシカゴ学派の新自由主義的なグローバリズムは、多国籍企業とそのオーナーが富を独占し彼らのような極少数の勝者と、アメリカという先進国にいながら満足な医療、教育すら受けられない無数の敗者を生み出した。
 新自由主義について、著者が皮肉な喩えをもって批判するように、食事をするしないという自由は誰にでもある。だが、そもそも食べようにも肝心の食事すらない場合はどうすればいいのだ。これら日々の食事を事欠くレベルにまで落ちてしまった人たちは働いてないわけではない。週6日間50時間働いても時給5ドル程度という極端なまでに安すぎる最低賃金では生活できないのである。アメリカは一度貧困にはまると逃れられないシステムなってしまったのだ。日々の食事に事欠く人が人口の13%にものぼるという。これは発展途上国ではないアメリカでの話である。

 では、そのシステムは誰が作ったのか。超リッチな多国籍企業オーナーなど新保守主義者いわゆるネオコンとキリスト教原理主義者が30年以上かけて入念に作っていったのである。その両方を代表するブッシュはまさに彼らにとって理想の大統領であった。
 政府乗っ取りのカラクリは新自由主義経済によって潤った多国籍企業またはオーナーが、自分が設立したか、もしくは既存の新保守的思想の財団やキリスト教原理主義の教会に寄付をする。なんと税控除まであるので、呆れたことにまともに納税なんかしない。アメリカの大金持ちは寄付をするというが、こういうものに寄付をして美談にされてはかなわない。
 そのお金を財団が新保守系のシンクタンクに流し、右派の新自由主義やキリスト教原理主義の思想を持った研究者かお金に弱い学者を抱え込む。そしてシンクタンクから政権に人材を送り込む。それによって政権中枢からアメリカをコントロールする。石油関連、自動車関連なら地球温暖化にCO2は関係ないという学説を広めたり、国際競争力が落ち雇用が守れないという理由で京都議定書を踏みにじる。食肉業界ならBSEの危険性を無視する。日本が米国産牛肉を輸入禁止し、BSEの全頭検査をするとヒステリックなまでに「アメリカの調査で安全だから、アメリカの牛肉はなんら問題ない。全頭検査など非科学的だ」と繰り返した担当官の顔が浮かんできた。そこには彼の支持母体である企業利益だけがある。
 さらに念を入れて、メディアにも多額の金をばら撒いている。マードック氏率いるFOXなど新保守系メディアもあり、ニュースよりもゴシップやエンターテイメントを充実させ人々を誘導する。そのニュースも見解は新保守的で、中身はインフォメーションとエンターテイメントを組み合わせた造語インフォテイメントなる言葉が表すような政治や社会問題よりもゴシップ中心のニュースである。
 最後は政治献金という札束をもったプロのロビーストがロビー活動を強烈に展開する。中にはイスラエルや韓国からの政治献金もあるという。これではまともな外交政策などできるわけがない。
 この傾向は民主党が政権をとったとしても変わらないという。アメリカの闇はそれほど濃い。

 キリスト教原理主義については本書を読まれること期待する。科学教育の否定とカルトのような黙示録的終末思想に思わず寒気がした。