英語で科学を語るための練習になる。読んで面白い内容。(但し要注意の内容あり)
★★★★☆
身近な科学の疑問について1〜2ページ程度の英語で簡潔明瞭に説明されています。難しめの語句の下に該当箇所の和訳、発音の難しい単語の上に読み(カタカナ表記)が挿入されています。文章全体の和訳もあり。時折、"まとめ"がイラスト+和英併記で書かれています。英語構文は高校生でも分かるレベルです。科学の専門語彙や使い方に馴染むのに丁度良いでしょう。
例えば、木の葉の紅葉の説明のまとめ(p.101):1. Starch is made by chlorophyll and sent to the trunk. 2. Chlorophyll doesn't work well and a separation layer is formed at the root of a leaf when it becomes cold. 3. Nutrients stay in the leaves because the separation layer keeps them from entering the trunk. These nutrients are broken down into the sugar. 4. Anthocyanin, a red coloring matter, is made up from the sugar and the leaves turn red.
但し、一部ミスプリント(p.40,彗星:Pluto(誤)→comet(正))や不正確な表現(p.76, a 1000-volt current flows)があります。また不正確な説明もあります。(→ 雪の結晶が六角形になる処の説明:酸素に対して3つの水素がお互い120度の角度をなす時に水素結合が安定、とあります。これでは水分子がグラファイトのような層状構造を構成することになり、不正確です。(通常条件でH2OのH−O−H結合角104.5度が120度まで変化しません) 正しくは水分子の酸素が2つの水素と共有結合を作り、更に他の2つの水分子と水素結合を作ります(中心の酸素から見た時、水素が4面体のように配置されているのです)。そのような水分子の並びが"六方晶"を構成しているのです。詳しくは「結晶は生きている―その成長と形の変化のしくみ」ご参照) 平易な科学英語を書くための練習本と割り切れば良い本ですが、上記のような"頂けない"点を考慮して★1つ減。
このような身の回りの科学を英語で読みたい方には次の本などお薦めです:「What Einstein Didn't Know: Scientific Answers to Everyday Questions 」&「What Einstein Told His Barber: More Scientific Answers to Everyday Questions」。科学英語のpicture dictionary「The Usborne Illustrated Dictionary of Science」も手元にあると楽しいでしょう。また、Podcast番組"The Chemical Reporter - BASF Podcast"もお薦めです。