ロンドン会議と貫太郎
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ロンドン会議の部分を読んでみた。
浜口首相が上奏する。条約批准の方向だ。
そのあとに加藤軍令部長がやはり上奏を申し込んできた。
きけば反対上奏という。条約に反対ということだ。
それはおかしい。
兵力量に関しては、軍令部に責任がある。
だから首相の方針が不満であるなら、断固反対すべきであって、
許してはいけないのである。
だから改めて軍令部長が反対上奏をするというのは
理屈に合わないし、職務怠慢ともいえる。
そういって諭したのが、世に言う「上奏阻止事件」だと書いてある。
まことに明快。
今日の目から見て、統帥権の扱いに違和感はあるものの、
明治憲法のもとでは正論というべきであろう。
本書を読んで、ドキリとするものがあったが、
著者の意見に納得した。
合計6回死にかけた男
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戊辰戦争が始まった日に生まれ、太平洋戦争を首相としてを終わらせた鈴木貫太郎の生涯です。特に圧巻なのが六回(七回?)死にかけたエピソード。赤ん坊の頃には馬に轢かれそうになり、子供の時には川に落ち、海軍に入ってからも、一酸化炭素中毒になったり・・・。なんと言っても、寝間着でうたた寝をして、起きた瞬間大砲で頭を打ち、海に落ちたというエピソードは人間味あふれています。恥ずかしくて助けを呼べず、必死で鑑に上がったが、翌日には寝間着が濡れていたためにみんなにばれたそうです。2.26事件でも何発も銃弾を撃ち込まれながらも、貫太郎は生還しています。まさに、太平洋戦争を終わらせるために生まれ、生きながらえたとしか思えません。鈴木貫太郎の人間味あふれるエピソードが詰まった!名著です。