幸せな気持ちになった。
★★★★★
コミックスも持っているし、しょっちゅう読み返しているし、文庫の内容はコミックスと同じなんですがやはり買ってしまいます。
遠藤先生の作品はどれも自分の見たくない、「あー、私もそうだ・・」と思うような弱い自分を指摘されてドキッとする事がよくあります。
社長の娘で、天才児で、会社を動かしていて・・・と、トンデモ設定だし爆発はあるし命は狙われるし、有り得ない事件もたくさん起きます。
バタバタワーワー爆笑するような中にしっかりとキャラクター達が物を考え、成長していく様を見られるお話で、遠藤作品の中で一番好きです。
今回文庫化にあたって、(別冊花とゆめで、いくつかの伏線を拾いきれないまま終わってしまっていたので)
「出来れば続きが読みたかったなあ。」
とずっと思っていましたが、書き下ろしを読んでとても幸せな気持ちになりました。
はっきりと「こうなの!」と描かないで、読者に想像の余地を残してくれるステキな終わり方でした。
書下ろしがなくても、最終話のラストシーンは映画のようですごく印象に残っています。
たくさんマンガは持っていますが、何度も何度も読み返しているのはこの人のマンガだけだなと先日気付きました。
描き下ろしを見よ!
★★★★★
三つの出版社から同時に4冊も発売!
という気合にファンが答えるには、と全部レビューを書いてみました!
寡作な(いえ、それがいいんです)遠藤さんを応援したい〜。
この作品は舞台がNYなので拳銃はよく出てくるし
色々怖い人たちも出てくるので、それで暗くならずこれだけテンポよく面白い、
っていう所がやっぱり名作だなと思います。
弱いことを認めたくない自分。でも弱いことをわかってほしい自分。
大都会で葛藤している様々な人が出てきます。
みんな素直にまっすぐには生きてはいません。
回り道をしながら、嘘をついて、ぶつかり合って、最後にやっとまっすぐなところに戻ってくる。
絵の中でツイン・タワーがまだそびえ立っているのが切ないですが
こういう正面きって希望を語れないつらい空気が
この作品が描かれた2000年代初頭にはあったような気がします。
見どころは超さりげない描き下ろしの最後の1ページ。
作品をちゃんと全部読んでから見てください。
おお…!
解説の方の表現がとてもしっくりきて、いい気分になりました。