しかし、<現実界>とか対象aとか、ラカンの専門用語が普通に使われているので(勿論若干の解説はあるが)、少しくらいなじみがないと読むのがきついかもしれないです。
それだけではない。「斜めから見る」というタイトルからも推量できるように、一見、ジジェクは高次の精神分析を使い、低次の大衆文化(映画や推理小説など)を読み解いているように見える。しかし、ジジェクはそこまで高慢ではない。あるときは映画に精神分析の理論を補填させ、あるときは精神分析の方に推理小説の結末をなぞらせるなど、自在に軌跡を描く。その考えてみると、本書はジジェクの思考を追う絶好の書でもあるようだ。
そういう意味では、本書は優れたラカン入門となっている。<他者><現実界><対象a>といった独特の概念が、ジジェクの映画分析を通じて、わかりやすく説明される。同時に、解読し尽くされたと思われていたヒッチコック映画に、ラカン分析の立場から新たなる光が当てられる。どちらも見事で、ただただ舌を巻いてしまう。
それだけではない。「斜めから見る」というタイトルからも推量できるように、一見、ジジェクは高次㡊®!精神分析を使い、低次の大衆文化(映画や推理小説など)を読み解いているように見える。しかし、ジジェクはそこまで高慢ではない。あるときは映画に精神分析の理論を補填させ、あるときは精神分析の方に推理小説の結末をなぞらせるなど、自在に軌跡を描く。その考えてみると、本書はジジェクの思考を追う絶好の書でもあるようだ。