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斜めから見る―大衆文化を通してラカン理論へ

価格: ¥2,730
カテゴリ: 単行本
ブランド: 青土社
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ゼノンのパラドックスの哲学的意味 ★★★★☆
「ここで描かれているのは、われわれの誰もが夢の中で経験するような、主体と対象の関係である。主体は対象よりも速く、しだいに対象に近づいていくのだが、それにもかかわらずどうしても対象を捕まえられず、休みなく対象に近づいるのに、対象はつねに一定の距離を保ち続ける、という夢のパラドックスである。」

ゼノンのパラドックスなんて、数学的にはナンセンスなことだとずっと思ってきたが、この本を読んで、これは数学の問題ではなく、哲学の問題であることを初めて理解した。

ゼノンのパラドックスというのは次のような内容である。アキレスと亀が競争する。当然アキレスの方が亀よりも足は速いのだが、亀はアキレスよりも前の地点Aからスタートする。スタート後、アキレスが地点 A に来たときには亀はさらに先にの地点Bまで進んでいる。同様に、アキレスが地点 B まで来たときには亀はさらに先の地点Cにいる。これをいくら繰り返しても、アキレスは亀に追いつけない。

これは、アキレスが亀に追いつくまでの時間を無限に分割して、どこまで分割してもアキレスは亀に追いつけないと言っているのであるが、高校の数学(MephistoWalkerの時代には数学IIIと言っていた)で教わったように、無限級数の和は必ずしも無限ではなく、一定の条件のもとでは有限な値になる。この場合はもちろん、有限の時間でアキレスは亀に追いつく。ゼノンは無限級数の和を知らなかったのだろうか。

別に無限級数の和を知らなくても、誰が考えてもアキレスが亀を追い越すことは明らかである。そんなことをゼノンが知らないわけはない。

人は目標に近づこうと努力しても、なかなか近づけないときに、その近づけない理由をでっち上げて、目標を達成できなくても仕方ないんだと思いたいものである。自分は追い越せると思った人だけが目標を達成できる、そんなことをこのパラドックスは言っているのだと理解した。
ラカン入門としてもジジェク入門としてもお薦め ★★★★★
最高です!

ラカン理論を下敷きに、SF小説批評、ハリウッド映画批評、ヒッチコック批評、推理小説批評などのヒッチコックを除けばいわゆる「古典」でない作品を通して、精神分析批評とはどういうものかを論じます。扱っている作品が身近なため不勉強な自分でも楽しく読め、かつ批評、分析は非常に鋭く、精神分析の理解に役立ちました。とくに推理小説の批評は素晴らしく、「推理小説の快感とは犯人の特定ではなく、トリックの解明にある」という点を、最初から犯人は特定されているスタイルのコロンボなどを引き合いに明確に論じて見せます。他にも映画『ターミネーター』のボロボロになりながらそれでも追いかけてくるターミネーターが恐ろしいのは、人工物で心がないはずのターミネーターに「欲望」があるように見えるからなのか?「欲動」を持っているように見えるからなのか?という観点から「欲望」と「欲動」の違いを面白く論じるなど、一見難解な精神分析の用語を分かりやすく(かつ面白く)噛み砕いて論じています。

ジジェクを読んだことがないという人には、まず最初に読むよう勧めれる良書です。
ラカン入門以後 ★★★★☆
ラカンを知らないで、いきなり読んでも理解できないかもしれない。私は今まで、日本で出版されているラカン入門を数冊読んできたが、どれもいまいちしっくりこないものばかりだった、<現実界>、対象a、享楽など。
そういういまいち「しっくりこない感」がこの本でいくらか解消された。

しかし、<現実界>とか対象aとか、ラカンの専門用語が普通に使われているので(勿論若干の解説はあるが)、少しくらいなじみがないと読むのがきついかもしれないです。

ラカンをヒッチコックする ★★★★★
 本書は優れたラカン入門となっているようだ。<他者><現実界><対象a>といった独特の概念が、ジジェクの映画分析を通じて、わかりやすく説明される。同時に、解読し尽くされたと思われていたヒッチコック映画に、ラカン分析の立場から新たなる光が当てられる。どちらも見事で、ただただ舌を巻いてしまう。

 それだけではない。「斜めから見る」というタイトルからも推量できるように、一見、ジジェクは高次の精神分析を使い、低次の大衆文化(映画や推理小説など)を読み解いているように見える。しかし、ジジェクはそこまで高慢ではない。あるときは映画に精神分析の理論を補填させ、あるときは精神分析の方に推理小説の結末をなぞらせるなど、自在に軌跡を描く。その考えてみると、本書はジジェクの思考を追う絶好の書でもあるようだ。

ラカンとジジェクの入門書 ★★★★★
 ラカンを読むのは難しい。独特の数学的な概念のせいなのか、最初から翻訳などすることが無謀なのか。「エクリ」を三ページほど繰ってみよう。解説書もなしに、自分の力だけで読み解けるだろうか。だからといって、世にあふれる解説書におもしろ味が欠けているのも実情だ。

 そういう意味では、本書は優れたラカン入門となっている。<他者><現実界><対象a>といった独特の概念が、ジジェクの映画分析を通じて、わかりやすく説明される。同時に、解読し尽くされたと思われていたヒッチコック映画に、ラカン分析の立場から新たなる光が当てられる。どちらも見事で、ただただ舌を巻いてしまう。

 それだけではない。「斜めから見る」というタイトルからも推量できるように、一見、ジジェクは高次㡊®!精神分析を使い、低次の大衆文化(映画や推理小説など)を読み解いているように見える。しかし、ジジェクはそこまで高慢ではない。あるときは映画に精神分析の理論を補填させ、あるときは精神分析の方に推理小説の結末をなぞらせるなど、自在に軌跡を描く。その考えてみると、本書はジジェクの思考を追う絶好の書でもあるようだ。