中国は国家というより普遍的世界
★★★★☆
友人の陳舜臣との対談を通して語られる、司馬遼太郎の日中比較文明論は今読んでも色あせていない。本書のキーワードは、日本が「特殊」なのに対し、中国は「普遍」だということ。
「中国というところは、農耕・遊牧・商業などの様々な生業の人々が暮らす広大な土地だから、いろんな物の考え方が起こりうる。だからこそ、ここに普遍としての文明が生まれた。文明とは普遍的なものであり、様々な人々に共有されるものだ。」「日本人にとっては普遍性は理解しにくい。しかし普遍がわからないと、中国もわからない。なぜなら、中国は国家というより普遍的世界なのだから。」「私は日本人を救う方法として、普遍を知るべきだと言ってる。そのためには中国の庶民を見るのがいい。今後普遍性を増してゆく世界がわからなければ、日本人は世界中で嫌われて自滅しかねないだろう。」