ポピュラー音楽を愛するすべての人のために
★★★★★
菊地・大谷コンビによるバークリー・メソッドを軸としたポピュラー音楽理論史の講義録。本書が「講義録」のフォーマットであることが何よりも重要。現代のポピュラー音楽に多大な影響を与えたバークリー・メソッドをめぐる怒涛の論考であるにもかかわらず,講義のライブ感を大切にしてまとめられているので読んでいて飽きない。収載されている菊地氏の言葉の随所にミュージシャン同士の符牒が現れ,ライブの打ち上げにでもいるかのような高揚した気分を味わえる。バークリー・メソッドの概要を述べるためには音楽理論に触れないわけにはいかないが,実際にポピュラー音楽を演奏した経験がない人には,本書を読んだだけでは理解するのは難しいかもしれない。そういう側面があることは否定しないが,それでも本書は,ジャズとその周辺のポピュラー音楽を愛する人にとって抱腹絶倒の一冊になるだろう。
楽理に躓いた人に
★★★★★
巷で商業音楽向けの理論とされる楽理の殆どが、バークリー・メソッドに基づくことは斯界では常識に近いが、その体系が孕む限界について、ここまで明晰に批評(批判ではない)している論考は他にない。度々言及されるように、実際の理論については骨格を説明しているだけなので、演奏家のための実用性には乏しい。しかし楽理を学ぶ者がたいてい躓く問題について、これほど明快な解答を与えてくれる著作は類がない。要約すると、1)バークリー・システムでは音程の協和・不協和度は音の物理的な振動比を根拠とする。2)それに基づいてコード進行は響きの緊張→弛緩の原理で説明される。3)それはビバップ等ポピュラー・ミュージックを解釈するのに極めて整合性の高い体系である。4)しかし現在この範疇では把握し難い音楽も一般化している。といった所か。楽理に納得いかない感覚を抱いたコトのあるミュージシャンにとって示唆に富む一冊なのは間違いない。
一緒に音が欲しい
★★★☆☆
ジャズを中心とした音楽の構造についての本である。バークリー音楽院で行われている理論化/記号化を中心に解説してある。
ドミナント−トニックぐらいしか知らない私にとっては、面白そうだった。面白そうだったというのは、匂いだけかいで食べられなかった気分。やっぱり、音楽の話は音がないとどうにもならない。コーダルの方はなんとか想像がついたけど、モーダルの方はよく分からなかった。例に挙がっている曲も、ジャズばかりで(ま、当たり前か)知らない曲ばかりと言うのはつらかった。ポップスはこの辺が堕落した(楽理的にですよ)ものだから、ジャズファンでなくても分かると面白いと思うんだけどなあ。
しかも、本書は講義をテープ起こししたもので、読み物としてはかなり冗長だ。これが、実際に音であれば、非常に良かっただろうにと思う。今や、iTunes ででも配信すれば不可能でないので、いよいよそう思う。音楽も30秒あれば最低の紹介は出来るだろう。それなら、iTunes のお試しと同じ長さで、著作権の方も何とかなるのではないだろうか。
かの有名なバークリー音楽院で何を教えてるか、なぜ、ジャズのインプロビゼーションが可能であるか、なんてことがある程度分かったのは収穫だが、読んでてなんとなく欲求不満がたまってくる本だった。
曲づくりへの欲望をかき立てられる。
★★★★★
今なお世界のポップ・ミュージックを席巻しているらしい、
バークリー音楽院の音楽理論「バークリー・メソッド」を包括的に解説している。
広汎にして実践的な知性がつむぎ出す言葉は、
著者が望むようにチャーミングでさえある。
それは、楽器を手にしなくなって久しい私のような人間が、
曲づくりへの欲望をかき立てられるような魅力である。
アメリカ音楽が前世紀の中頃にアフリカのリズムと結びつくことで、
やっと世界を「リズム音痴」と蔑めるようになったことを知る。
きわめてクール。
なぜ音楽に感動するのかがわかる
★★★★★
実際の菊地さんの音楽の授業を受けたことがありますが、非常に明快で、時折挟まれる心地よい脱線とともに、音楽の理論的な仕組みが身についていきます。本書も実際の授業の雰囲気をそのままに、進んでいきます。音楽を聴くだけでなく、「作り手」になりたい人は是非読んで欲しい本です。また、途中で気がついたのですが、4つ、5つぐらいの和音が出せるキーボードを手元において、本書を読むと理解が早まります。
島森書店 本店
★★★★★
コードを実際に聴けたら、更に理解が進みそうです。
菊地さんと大谷さんの、講義の中での音楽への造詣と愛情は言うまでもなく、
生徒へ相手のレベルで伝えることを、さりげなくエレガンスに、微笑と共になさってるのが、堪えられません。
Mani*Mani
★★★☆☆
どうしてこういう本が書けるんだろうか。菊地さんはきっと頭脳をマルチプロセシングできるんだろう。絶対にそうだ。今まさに旬のミュージシャンにして文筆家・・文筆家?なんだか文章を書きながら映画を撮っているようだ。
さかなや
★★★★★
バークリーメソッドについての本らしいです。彼の大学(ペンギン大学)に入って勉強したいけど、諸々の事情で出来ないのでこれを買って勉強しようと思います。