原版と異同の多い点が、邦訳版に解説の無い点がマイナス1,
★★★★☆
中国在住している者です。本書は中国版と香港版があり、中国の中国工人出版社版を国営の新華書店で見つけました。レジに持っていく時ドキドキしましたが、普通に買えました。日本版196頁に「書店に並べられた段階で、当局に差し止められた」とだけあり、回収状況についての詳細な記述がありません。検索エンジンで原題「民以何食天」で検索すると、中国の書籍ショッピングサイトにも登録されています。だからと言って本書が禁書扱いではないとはいえません。中国版youTUBE、土豆网では、普通に日本のドラマが見れたりするので(もちろん法律違反)、この程度の内容の禁書具合は、政治状況に依るとしても、この程度なのかも知れません。
日本版と中国版を比較してみるに、日版1章は、中版では前書き。4章が中版の第1部となっていて、更に中版第3部までは、訳文の順序に相当異同があるものの、全体としては概ね一致しているようです。日版にあって、中版に無い部分、反対に中版にあって、日版に無い部分もあります。日版にあって中版に無い部分は、当局の検閲にひっかる可能性の高い部分だと推測されますが、訳者が追記した可能性もあるように思えます(章の最初と最後にコメントのように記載されている点がそのような印象を与えます)。中版では削除された可能性が高い箇所と見られる部分について下記に比較してみました。○は中版にも有り。 ●は無い文章です。
○p36最後の文 上海政府役人関連
●p49最後の5行以降p50全部。役人の横領金額関連
○p79役人の弁
●p881行目。独裁者云々
●p112最後の5行、共産党統治関連
本書の恐ろしいところは、胸の悪くなるような事例が過剰過ぎ、段々感覚が麻痺してくる点です。屋台や定食屋を避けたところで付け焼刃としか思えなくなり、警戒する気も失せてしまう。私は定食屋で食べているので、毎年人間ドックが楽しみです。
食せる物がなく、五輪や万博にはとても行けない。
★★★★★
本書「中国の危ない食品」と「中国ニセ食品のカラクリ」(富坂聰著)を読めば、まず中国大陸では何も口に入れられなくなり、「断末魔の中国」(柘植久慶著)を読めば、中国大陸に入国しようとは思わなくなるほどに、その内容は驚異である。本書の最初から、とてもここには書けないような人体の食材、豚肉の赤身化剤、地溝油、飲料水の中のフッ素・砒素・有害物質がこれでもかと登場し、第1章50ページで十分だ。ここまで読んで、中国に行こうとする気持ちは間違いなく萎える。泡菜や塩漬け海産物にはDDT、不潔な工場での食品製造、ものすごい添加剤、毛髪のアミノ酸溶液、その他これでもかとばかりの実例が紹介されている。巻末の「中国で食品を買うときの注意と選び方」は有用であると思う。しかし私はもうMainland Chinaには決して行きたくないと思った。
一向に改善されない中国の食品問題の深淵
★★★★☆
日本でも昨年話題となった『段ボール肉まん』をはじめとして当地中国では偽ブランド食品、
発ガン性物質添加、粗悪原材料使用などが横行している実態が本書で暴かれています。
周勍氏は北京在住で中国の将来を憂いている立場ですので、このような食品調査を
通じて中国内の食品の危険性を示すとともに、そのような状況に到るまでをアヘン戦争からの
歴史まで紐解きながら、現体制と国民の思想が引き起こす弊害、そして国際社会からの
作為的報道や規制についても触れています。このあたりになるとやや思想的な面に
国民性を意識せずにいられません。
日本語訳のために付したという、付記「中国で食品を買うときの注意と選び方」も
かなりきわどい内容となっており、本書が問題視され中国内で発売されていない
という状況についても納得がいきました。
話題の統一感が無いのがやや残念ですが、これも文化の違いととらえつつ、
一読されることをお奨めいたします。
★もう、北京オリンピックはボイコットしかないな、と。★
★★★★★
●「土地の人間は、ここで養殖した魚は食わないよ」等、信じられない程の事実(?)が次々と列挙される。
・民族の運命にかかわる「食品汚染」
・豚の赤身肉が「妖怪」になるまで
・恐るべき食品危害
・経済のグローバル化と「食の安全」をめぐる戦い
・引き裂かれた「天」を修復する−食品の安全は守れるのか
・【著者へのインタビュー】
・【識別法】中国で食品を買うときの注意と選び方
●「中国の食品汚染は人身の心の汚染からきています」と、巻末のインタビューで述べる著者。たしかに、食品に限らず、マスコミ等から入ってくる各種情報はそれを裏付けるものばかりである。
●本書には、丁寧にも「識別法」まで記載されている。しかし、本書を読んだ人に聞いてみたい。『あなた、中国に行きますか? それとも人間やめますか?』
ホルモンは微量でも人体に影響しますよ
★★★★★
ホルモンは微量であっても人体に影響を及ぼしうるものであり、間接摂取であれ直接摂取であれ体内に入ればなんらかの異常が起こっても不思議はないでしょう。
著者は天安門事件に連座して投獄された経験のある民主運動家。序文にも元々毒物や食の専門家ではないとあります。細かいところで揚げ足をとっても仕方ありません。この本にいくらかの間違いが含まれるにせよ、これが中国の食の安全に関する議論・世論を喚起する事につながればよいのではないでしょうか。