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だりや荘 (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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あまり共感できませんでした ★★★☆☆
読みながらまず感じたのは「う〜ん、迅人、嫌い」ということでした(笑)。
奥さんがいるのに、隣に住んでいるその姉とも関係している、
自分は2人共大事にして愛してると思っている、
そりゃちょっと無理、都合よすぎ、
いつか破綻するのが目に見えてるって思わないのだろうか、と。
男は絶対ばれてないと思い込んでいるのに、妻(妹)はもう気がついている、
姉も、抑えているけれど苦しさが噴き出しかけている、
けれど間にたった男だけが何も気がつかず、何も見ようとせず
この平穏な暮らしがずっと続くと信じている、
そりゃ甘いよ、と読みながらずっと思ってしまいました。
人生、必ずしも道徳的に正しいことだけして生きられるとは限らないので、
不倫が絶対悪だというつもりはないけれど、
この迅人という男性は悪意がない分、あまりにも無頓着で愚かです。

姉妹が対照的な性格というのも意味深かな、と。
というか、相手を意識して育ってきたから、対照的になったのか?
近すぎる血縁の愛憎というか、お互い大好きなのにどこかで競っている、
同じ男と関係したのも、嫉妬と、奪ってやりたいという気持ちもあったんじゃないかと感じました。

中心にいる迅人以外、登場人物がみんな屈折していて、
どの人もまっすぐに生きることができない、
けれど破綻の結末になってしまったのは、それは結局、自己責任なのでは?
なんだかそんな非難がましい目で見てしまいました。
作品としては?う〜ん、微妙です。
読ませる力はあるけど、読み終わってみたらあまり何も残らないかも・・・。
足りない・・・ ★★☆☆☆
簡潔に言うと姉妹で男を奪い合う昼メロみたいな話。
題材そのものは愛憎の絡んだ人間臭い話のはずなのに、登場人物の誰もが素直で聞き分けがよくて、それが本当に気持ち悪い。
人間ってもっと生々しいと思うんだけどなぁ。
例えるなら、大人のごっこ遊びを無理矢理見せられているような、そんな居心地の悪さを感じた。
好き嫌いのはっきり分かれる作品だと思う。
人間臭くないのが作風だといわれればそれで終わりなんだけど。
現実感の希薄さを泡沫として読めるかどうか ★★★☆☆
田舎での逢瀬は近隣のホテルを使ってはいけないという大鉄則を守っていない分、各場面の現実感のなさが気になって「作者は都会でしか暮らした事がないのだろうか?」などと余計な事を考えてしまう。情事(著者がどう描こうと客観的に)を泡沫として捉える事が狙いなら、もう少し叙情的に書くべきで、同じ著者でもいっそのこと「潤一」の方がスッキリしている感じがした。こういう表現方法は、曲解してなければヨーロッパあたりの映像作家に任せるべきかなあと。「業」への踏み込みが垣間見える分、その深度の足りなさが「甘さ」になって、なんだか少女(女)コミックの読後感に似ている気がしました。直木賞作は未読なので、筆力はなんとも言えませんが、あと1作読んで同じ感想なら、しばらくは読まないです。
買いですが・・・。 ★★★☆☆
これから良い作品をどんどん書いていく予感を感じさせられました。ただ、本作については、巧みな筋立てであることは認めますが、登場人物同士を関係付けたりつなぎとめたりする接着剤のようなものにいつも性行為が用いられるので、読んでいていい加減ウンザリでした。そりゃそうかもしれませんが、すこし安易すぎませんか。それと、章段内の小段落の終わりの一行が必ず、謎かけや種明かしになっていて、もちろん読ませる工夫には違いありませんが、こう繰り返されると、飽き始められたお笑いコンビの決め台詞みたく、「なんだかなぁ」と辟易してしまいました。また、二人姉妹は姉がおっとりした物静かな美人で、妹は対照的な活発なタイプでないとダメなのでしょうか。これも、読者をバカにしているように読めば読めるような気がします。ただ、こうまで書いたあとで取ってつけたようですが、読ませるツボを心得た文章と物語を展開させていく力量には、確かな手ごたえを感じるので、これ以外の作品も読んでみる価値のある作家であるように思います。しかし、直木賞を取ったというだけで手に取った本書は、その表紙と題名からもっとほのぼのした物語かと思ってましたが、読み終わって改めて表紙の絵を眺めてみると、同じ絵が読む前とは違ってまるでそれが箱庭のように見えるのですから、やはり力のある人なのでしょう。
男を媒介にした姉妹愛 ★★★★☆
 少女コミックの人物を髣髴させる美男美女。ペンションを舞台の恋愛劇。いつもなら数ページ読んで止めてしまうのだが、だんだん引き込まれていった。姉妹が同じ男を愛するというパターンは、小説でもコミックでもよく見かけるが、セックスで二人の心をつかんでいると思っている妹の夫が滑稽に見えてくる。
 ここには生活感とか生活臭といったものはない。常に収支を計算しながら商売するといった常識も、脇に寄せられている。お客には不自由していなそうだ。作者はなにが書きたかったのだろうか?私には、姉妹の絆の強さ、お互いを思う気持ちを書きたかったのではないかと思う。
 姉は自殺しようと考えて山中に向かう。妹をこれ以上傷つけたくはない、しかし、男なしには生きられないと考えているから。妹は姉の自殺未遂を知り、夫などいなかった日々に戻ればよいと考える。性にたいする男と女の受けとめ方の違いが、よく描かれている。
 しかし、なにか物足りない。生活臭を出せていないことが、弱点になっているように思えるのだが。