波乱万丈を絵に描いたような人生
★★★★★
英国史上、最も輝かしい時代を作り上げた女王エリザベス。
チューダー朝はイギリスの長い歴史の中でももっともドラマティックで、歴史好きには愛されている時代ですが、この本はその中心人物であるエリザベス1世の誕生から即位するまでの
波乱に満ちた人生をドキュメンタリータッチで描いています。
宗教や、血縁関係、近隣諸国との力関係などに翻弄されながら、己の機転だけを頼りに背信と疑惑の渦を生きぬいていく少女エリザベス。
時にはヘンリー王の娘としてあがめられ、時には王をたぶらかしたアン・ブーリンの娘として
私生児扱いされたエリザベスが、父譲りの知性とカリスマ性でじっと時期を待ち、ついに
即位します。
恋愛関係にはほとんど触れられていないので、映画「エリザベス」等の内容を期待して読むとがっかりするかもしれませんが、こんなにも怒涛の人生を歩んできたからこそ数々の男妾を持ちつつ、表向きは「ヴァージン クイーン」という看板を使って王座に君臨し続けたのだなと思いました。
エリザベス研究ではイギリスでも1.2を争う有名な教授の書いた本なので、エリザベス一世について知りたい方は必ず読んだほうがいい本です。