皇后 美智子さまが「子供時代の読書」を語る
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『橋をかける』とは、どことどこをつなぐ橋なのか、知りたいと思って読む。
その橋は二つあって、他の人と結ぶ橋と内なる自分自身に向かう橋でもあるという。
言い換えれば、自分以外の人がどれだけ深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたことである。この世を生きるためには悲しみに耐えること、反対に喜びに向かって伸びようとする心が養われるとしている。人生の全てが決して単純ではないこと、複雑さに耐えて生きていかなければならないことを本によって教えられる。
子供たちが、自分の中にしっかりした根を持つために
子供たちが、喜びと想像の強い翼を持つために
子供たちが、痛みを伴う愛を知るために
子供時代の読書の意義を優しくじっくり語りかけてくれている。
孫にぜひ読ませたい
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昔から美智子様に深く傾倒していた老人ですが、この書をぜひ小学生のひ孫を育てている私の孫娘に読ませたい。美智子様の長い苦しみを切り抜けてきた力の源に触れる思いがする。あらためて美智子さまの深い教養と積み重ねられた言い知れぬ苦難を克服した上での言葉や文章は、珠玉のように輝いて、限りない未来を背負った子供たちをもち、真実に活きようとする親たちの心の灯火となるだろうことを疑わない。
おどろきの連続
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おどろきの連続でした。
戦時下、美智子さまが体験された、疎開先での草干し作業、――美智子さまがそのような体験をなさっておられたとは、おどろきでした。
尊父様よりおくられた本、日本の神話の一節から、愛と犠牲とは二つながら、一つのものである、との認識を得られた、とありました。そのような認識はキリスト教にのみ見られるもの、と思っていたのですが、日本の神話も見捨てたものではない、と思いました。
美智子さまが、まど・みちおさんの詩を訳されたこと、訳された詩で国際アンデルセン賞を受賞されたこと、本を通じて、世界中の子供たちが平和を得られるよう、尽力されてきたこと、など、私にとっては初耳のことばかり、おどろきの連続でした。
世界中の子供たちが、本を通じて、平和を得る。美智子さまは、その道がけして平坦ではないことを重々承知しておられます。それでも、一冊の本が、人と人とを、国と国とをつなぐ橋となる、――本の持つ可能性と、本を読む子供の可能性とを二つながら信じておられます。美智子さまの美しい活動、この本を通して、一人でも多くの人に知ってもらいたいものです。