インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

法隆寺の謎を解く (ちくま新書)

価格: ¥861
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
Amazon.co.jpで確認
めぐり、見えてくるもの。 ★★★★☆
 梅原猛氏の「隠された十字架」への反論だと聞いて、読んでみました。
 でもそれだけの本ではないのですね。この著者独自の明確な法隆寺像、建立にまつわる全体像があり、説得力もあるので引き込まれる。皆様のレビューが高評価なのも納得です。

 前半は、ゆったりしたペースで進み、まさに「めぐる作法」の感覚で、謎の焦点から離れたところを大きく回っている感じ。結構じらされます。
 でも、それは著者が自分の見解に至るために通った道筋を再体験する、ということのようです。そこをめぐって来たからこそ、後半の展開にすんなりついていける。

 メインは「法隆寺中門の柱の謎」と、「法隆寺“再建”の謎」で、どちらも納得のいく答えが出されているので、この時代に興味がある方にはおすすめできますね。

 自分的には、特に後者の謎がスリリングでした。
 創建法隆寺の向きなど、言われるまで気付かなかった。ものすごく触発されました。
 ちょうど同時期に「古墳とヤマト政権」という本を読んでいたのですが、どうも大仙陵古墳のような大規模古墳の造営が減少する時期と、寺院建築ラッシュの時期が重なるようです。合わせて読んだら、記紀が語るのとは少し違う歴史の姿がおぼろげに見えてくるようなこないような。ただそこで見えてくる「真実(?)」の解釈がちょっと著者の方と違っていたので、たいへん勝手ながら☆一つ落としました。
 本当は、☆4.5くらいの評価です!!

 
『法隆寺の謎』に迫る良質な論考 ★★★★★
現在、目にする法隆寺は聖徳太子創建のものではなく、再建(新創建)されたものであることは昭和14年の発掘調査の結果から明らかになっている。新創建の法隆寺がいつ、誰により何の目的で建てられたのか? 日本書紀は黙して語らず、ここに様々な仮説が立てられている。武澤氏は建築学の専門家であり、最近明らかになった法隆寺の五重塔と金堂の建設木材伐採年のデータなどを駆使して伽藍造営の経緯を明らかにしていく。
そして嘗て「怨霊説」の根拠とされた中門の真ん中に立つ柱について別の合理的な解釈の可能性を示す。さらには我が国の中央集権国家建設のなかでの仏教文化受容の面にまで進む。これで『法隆寺の謎』が全て解決されたわけではなく、謎がさらなる謎を呼ぶ面もあるが、知的好奇心を刺激する良質な論考である。文章はよく練れていて読みやすい。
法隆寺、そして日本史のなかで特にダイナミックなこの時代に関心のある人に是非お薦めしたい。
建築家の感性で謎に迫る ★★★★★
本書の著者は歴史家でなく建築家である。さらに、仏教のふるさと・インドを何度も訪れ宗教建築を踏査している。そうしたことを通して培われた著者の感性を土台にして法隆寺の謎に迫っていることが、本書の特徴である。門の中央の柱、伽藍配置、創建法隆寺と新生法隆寺の関係、などの謎へのアプローチは、まさにこの著者ならではと言えるだろう。だからと言って資料をおろそかにしているわけではない。当時の資料を読みこなしつつ、それらで足りない部分を建築家の感性で補っているのだが、これは下手な歴史家の屁理屈よりも大きな説得力を持っている。
まわれまわれまわれ ★★★★☆
法隆寺の門のど真ん中に柱がある。なんで?
このあまりにキャッチーな問いに一説を投じている。

たまに「筆が滑ってんじゃないのか」と指摘したくなるような推理の飛躍もあるが、まぁ、読み物としておもしろいし、証拠の少なさは他の説も変わらんのでオッケー。

不満なのは、図や絵、写真が少なくて、文章の内容がいまいち映像化しにくいこと。でも、これ読んで法隆寺に行って見る人、多いだろうなー。
臨場感ある文章。 お寺巡りが好き、美術が好き、紀行が好きという方におススメ ★★★★★
平易な語り口でありながら、新書とは思えないほど中身のある本と思います。以下、思いつくままですが…。

・柱にまつわる法隆寺最大の謎を、インドの仏教建築から解いたこと。これは“コロンブスの卵”で、まさに目からウロコです。国内に視野を限定せず、広く大陸と比較することから得られた成果でしょう。

・近年明らかになった使用木材の伐採年に関するデータを踏まえた本であること。これにより、従来説より信頼度がグンと増しています。その上で、法隆寺の再建問題について大胆かつ説得力ある見解が打ち出されています。

・著者は建築家ですが、建築物を見ることによって、これだけのことが言えるのかという驚きがあります。建築設計の経験を著者は最大限活かし、建築デザインの目から謎を解いてゆきます。

・単なる謎解きにとどまらず、法隆寺の伽藍配置が日本列島特有の美意識の発露であることをわかりやすく説いています。岡倉天心や和辻哲郎の良き伝統につらなるものでしょう。

文章に臨場感があるので、著者の案内で法隆寺を歩いているような感じです。お寺巡りが好きという方はもちろん、美術が好き、紀行が好きという方に絶対おススメです!!