ソ連戦車研究の第一人者による定説を破る戦史
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ロシア革命で赤軍を率い内戦の勝利に貢献し1925年赤軍の二代目の国防相に立ったミハエル・フルンゼに由来するペンネームをもつ、知る人ぞ知るソ連軍戦車研究の第一人者による戦史書。
これまで一方的に日本側の大敗とされていた戦車の闘いを再評価する。多数のよく考えられた図版を活用し、また最前線で苦闘した日本軍将校の手記を要領よく引用し、またソ連崩壊後公開された資料を読み解き、日ソ双方の記録を比較対比し、日本戦車隊の奮闘・健闘を明らかにし、必要以上に細目にこだわらず、広大な原野で日々刻々変化した戦場を活写している。
戦場での勝利を戦争の勝利に結び付けられなかったのは、ひとえに日本陸軍上層部の無能によるものであった事実が改めてよく解る。
しかし、「元日本共産党員(除籍)が描く異色の戦記」という宣伝文句は本書の内容と価値にふさわしいのか、違和感がある。