いっさいは空である。
★★★☆☆
「伝道の書1章1〜14節」を、そのまま物語にしたようなお話。
クラフト・エヴィング商會は、「二兎を追う」ような「お店」だが、この手帳版では、二兎を追うバランスが崩れてしまったように思えます。
「人はこれを言い尽くすことが出来ない」のなら、無理に言わずとも良い気がします。
個人的にはハードカバー版の方が好きです。
空想の旅に出たい時に
★★★★☆
帰省の新幹線の中で、時間を忘れるくらいあっという間に読んでしまった。今度はゆっくり読みたいと思う。
文章が二色刷りなのはエンデの”はてしなき物語”を思いだした。
また挿絵も不思議な世界観を反映していて面白い。
一ページ一ページを味わうように楽しめる一冊だと思う。
稲垣足穂を思い出します
★★★★★
何の気なしに買い求めました。稲垣足穂の「一千一秒物語」をほうふつとさせる、上品なユーモアと重いような軽やかなような感触の物語が素敵です。
異世界「アゾット」を訪れた筆者のおじいさん、吉田傳次郎氏の見聞録を筆者が編集したという設定の本です。本文中、傳次郎氏の覚え書きの部分がかすかにブルーっぽいグレーで刷られており、文庫本ながらとても丁寧に作られた本なんだ・・・としみじみと感じます。
広告文章の時代設定をもう少し詰めて欲しかった、と重箱の隅をつつくような感想も浮かびましたが、21種類のお酒がおいしそうなので不問にしようと思います(笑)。
雲の集め方が解る本
★★★★★
この本は、「忘却」をテーマに物語が構成されています。
人間はなぜ何かを忘れていくのか?
その構造を文学的に解釈し、ユーモアあるアイディアで21の物語にまとめています。
読後はきっと「忘却の儚い美しさ」に感動し、
クラウドコレクターとなって遠い空に浮かぶ雲に思いを馳せることでしょう。
ムーンシャイナーのお酒の味
★★★★★
いやあ、面白かったー。
ファンタジックで、不思議な幻想の味が良くて、
素敵な素敵な、雲をつかむような話でした。
クラフト・エヴィング商会の三代目店主が、祖父・傳次郎が残した
手帖に記された世界を旅し、その世界の秘密を読み解いて行く話です。
全部で21のエリアがある「アゾット」という世界。
祖父が旅した不思議の世界。
なんとも言えないファンタジックな魔法に酔わされました。
茫洋とした果てしない話の雰囲気に浸り、
わくわくしながら頁をめくっていきました。