盛り上がりに欠ける
★★★☆☆
前半は,田口先生のキャラで若干笑わせてもらう程度で,特にミステリーもなく,エキサイティングな場面もなく淡々と病院生活が描かれています.このまま終わってしまうのではと心配でしたが,第二部に入ってようやく話が回り始めます.
この話は,「ジェネラル・ルージュの凱旋」と同じ時間,同じ場所を違う側面から描いたものということだったので楽しみにしていましたが,特に2つの話に繋がりはなく,話が組み合っているというものではありませんでした.
文章自体はおもしろいのですが,若干盛り上がりに欠けるのが残念.
海堂氏の本領はミステリーにあらずなのでは?
★★★★★
2日で「チームバチスタ」「ナイチンゲール」「螺鈿」「ジェネラル」「ブラックペアン」を消化した。
海堂作品を読んでいて心が熱くなるのは、その根底に流れる正義感を感じるからだと思う。
バチスタから封を切った医療シリーズは2作目以降からその切り口を徐々に手術室という狭い空間から、外科、小児科、診察、終末医療、救急医療、医療教育から社会の医療システムと財政、病院体勢、諸所の政治問題へと巻ごとに網目を広げていく。
そして海堂正義感を持ったさまざまな魅力的キャラクター達の絡みから、医療が抱える問題がわかりやすく、かつ臨場感をもって浮かび上がってくる。
ミステリー作家として見られているようだけど(というよりも出版社がミステリーミステリー言いすぎな気がする)、こうしてある程度読み進めてみると、海堂さんの作品の魅力はそこじゃないのでは?といいたくなる。
さまざまな出版社で出されている主人公の異なる作品が、つながりながら大きなうねりを生んでいるように感じる。
本作では、超能力使いのような現実離れしたキャラクター(私から見ると白鳥、高階院長、そのほかもろもろも現実離れしているのですが)が出てきて、
ストーリーもテレビで流れている湯煙なんとか殺人事件のようにちょっと「わざとらしく」なっていることが、多くの読者をがっかりさせているようです。
でも今のところ読んできた作品の中では、一番患者の視点を色濃く書いている作品であり、小児科の問題も改めて考えさせられた。
ミステリー愛好家ではないので私は普通に面白く読ませていただいた。
海堂さんの作品を楽しみたいのであれば、本作を除くべきではないし、事件解決ミステリー以外の楽しみ方があると思う。
本線を辿ると
★★★★☆
単調なミステリーです。
それに肉付けするために、
聴覚と視覚の共感覚の話や
小児病棟の問題、
終末医療の課題などが
織り込まれている。
白鳥の鋭さは前作より劣りますが、
娯楽ミステリーとして
十分面白かったです。
バチスタとジェネラルの間
★★★★☆
チームバチスタの栄光を堪能し、ジェネラルルージュの凱旋も面白く読んだので、期待感を持って読み始めました。ところが書き出しがジェネラルと同じ様な設定。思わず、同じ本を二度買ってしまったのかと思いながらも読み進めたところ段々違った展開になり一安心。ジェネラルとは双子の本であるように思います。 ただ、バチスタやジェネラルのようなグイグイと読者をひきつけるようなストーリー展開ではありません。難病に犯された少年が尊属犯なのか、特殊な歌唱能力を持つ看護師がどうからむのかやや緩慢としたスピードで話しが進みますが、最後は中々読ませます、泣かせます。ちよっと浅田次郎ワールド的なエンディングで、私は著者の新たな試みとして評価させていただきました。
ずれた焦点
★★★☆☆
医療ミステリー作家として一番今油が乗っている作者。
チームバティスタで人気実力とも世間に知らしめたという事で期待して読んだのだが、私の予想しているものとはかけはなれてしまった。
田口先生や白鳥その他の病院関係者、また今回登場した歌姫やそのマネージャー。患者他キャラクター設定もテンポもいいのだが、医療ミステリーという極めて科学的な題材に、テレパシーてきな非科学的なテーマを盛り込んだせいか、焦点がずれてしまったように感じる。
殺人事件の方は早々と先が読めてしまい、もう一つのミステリーの方は肩透かし、そんな読後感だった。
このシリーズの中では凡作。